他人の犯した過去の過ちを水に流すこと、
その相手を許すことは人格者のなせる業であり、美徳とされています。
これを子どもが自分の親に対して行うと何が起きるでしょうか?
許しが行われるとき、許しを与える側の者が許しを受け取る側の者よりも心理的に高い立場に立ちます。
子どもが親を許すとき、子どもは自分を親よりも高い立場に置きます。
そして、子どもは高い立場から低い立場の親に向かって許しを与えます。
集合的良心のランクの法則とギブアンドテイクの法則を思い出しましょう。
ランクが下位の子どもからランクが上位の親に対して“許し”を与えることは、集合的良心の法則に反します。
集合的良心は、子どもに親を許す権利も能力も与えてはいません。
子どもが親を許すことでランクを逆転させてしまうと、親から子どもに向かって愛のエネルギーが流れなくなります。
なぜなら、子どもが自分よりも親を低い立場に置くことで「子どもは与える人」「親は受け取る人」という心理的構図ができ上がってしまうからです。
親から愛を受け取れなくなった子どもは、世の中の誰からも愛を受け取れなくなります。
これは、長女に比較的多く見られる現象です。
親を許したり、親を可哀想に思うことで、長女は親を自分よりも下に置きます。
中には親を軽蔑する者もいます。
その結果、長女は親からも、誰からも愛を受け取ることができなくなります。
そうして大人になった長女は、自分を犠牲にしてまで他人を喜ばせようとする、自分が面倒を見てあげないといけないダメンズばかりと付き合う(結婚する)、しかし、自分は人に弱みを見せられない、といった悩みを抱えるようになるのです。
心理セラピスト 棚田克彦
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