名言名文金庫

名言名文金庫

小説の中で気に入った文章を引用・紹介するブログ。
ブログ内検索を使うと色々でてきます。

Amebaでブログを始めよう!

偽物語[下]  西尾維新


キメ顔





「髪は女の命か。ふうん、いい言葉だな。だけど兄ちゃん、いい言葉ではいい生き様には少し足りない。あたしは命をどぶに捨てて生きるんだ。どぶの中で光る見事な宝石のようであれと、あたしは師匠に言われてるぜ」

P28






活字離れとか言って、若者の不勉強を嘆く上の世代は、逆に携帯やらウェブやらに疎かったりするわけで。 古典文学を読めない子供とライトノベルを読めない大人とを比べてみれば、意外とそこに差がなかったりする――もっと極端な例えを出せば、紫式部が如何に優れた文学者だったところで、現代に連れてきてしまえば、彼女は絵本さえ読めない。文化を縦で比べることに意味はないのだ。

P55





根性は快楽によって折れる!

怠惰にこそ、気位は屈する!

P72





「――俺としては至極残念な話で、がっかり以外に言葉がない。朗らかな戦場ヶ原ひたぎに、一体何の価値があるというのだろう。己の価値に気付かない呪いと己の無価値に気付かない呪い、選ぶとしたらどちらなのか、それは人が背負う一生の問題ではあるが――まあしかし、それでも子供は成長するべきなのだから、俺のように終わってしまった人間は、ここではコメントを差し控えておくとしよう」

P212 





「そこに本物になろうという意志があるだけ、偽物のほうが本物よりも本物だ――かかっ。貝木くんはな、どうしようもない小悪党の癖に、言うことだけは格好ええんや。まあ強いて言うなら、それが今回の件からうちが得るべき教訓っちゅうとこか――十年越しの教訓やけどな」

P314



偽物語[上]  西尾維新


化物ならぬ偽物





「いや、そりゃ私達にしてみりゃわがままが通りやすくっていい感じってだけの話なんだけれど、なんっつーかさ、あんまさ」 「勝手にひとりで大人になんないでよね。つまんないからさ」

P41





「……そこまで言うなら、お前も教えろよ。お前の友達は何人いるんだ?」

「え?」 「数えられるうちは友達とは言えないと思うよ」

「……」

「だから『友』『達』なんだし?」

P201





「悪いなんて一言もいってない」

「……」

「劣等感と一生向き合う覚悟があるのなら、たとえ偽物だろうと、それは本物と同じじゃないか」

P294





「将棋は速度を競うゲームだからだ。棋士同士の対局では必ず脇に時計が置いてあるだろう。そういうことだ。制限時間のあるゲームだからこそ、ルールが単純なほど盛り上がる。如何に思慮時間を短くするか――詰まるところ、頭の良さとはスピードだ。どんな名人の手順であろうと、時間をかければ誰でも同じことができる……だから大事なのは時間をかけないことなのだ」

「……」

「将棋だけではない、人生もまた有限だ。如何に思慮時間を短くするか――換言すれば、如何に素早く考えるかが重要だ。お前達より長く生きている者として、ひとつだけ忠告してやろう」

P308





「私は正義の味方じゃないの」 「悪の敵よ」

P309



きみとぼくの壊れた世界  西尾維新


病院坂黒猫





それではさようなら論理。もう二度とお目にかかることはないでしょう。今までありがとう道徳。本当にお世話になりました。僕は、妹を、愛します。

P150





「王手をかけた状態……『終わってしまった陣形』とは、誰もが思っている以上に隙だらけだということなのだよ、様刻くん。今のきみは、ひょっとするとそういう状態なのじゃないのかと思ってね」

「……?」

「今のきみは、なんだか完結しているよ」

P216





いつもそうだ、こいつは、平気な顔で、本音を吐く。 思いもしなかった。 命がけで生きている人間がいるなんて。

P268





――などと、諦めるのもまだ早い。諦めは人間の死だ。そうそう死ぬこともあるまいよ。

P374





行為した分だけの成果があれば、人はそれだけで救われるんだ。『行為した分だけの成果』――それが、世界とつながっている、空回りしていないということだからね。

P398


きみとぼくの壊れた世界/西尾 維新
¥1,995
Amazon.co.jp