「え…先輩…?」
彼女は階段を上り、三年生の教室へと入っていった。
(なんだ先輩だったのか、どうりで会わないな)
"こぉらあ!!!八乙女え!!!"
びくっとした時にはもう教室に引きずり込まれ、皆の前で怒られる。まあ、聞いてないけど。
やっと昼休み…あの花壇へ走っていく。
(いきなり居たら変かな)(いや、名前くらいは聞いてもいいよな)
そんなこと考えてたら、校舎の影から彼女の姿。声かけなきゃ、どうにでもなれ!!って思ってても声は正直で…
「あのっ……」
声が小さい。恥ずかしい。声を聞き彼女が俺の存在に気づく。
「あ、あの時の!よかった…また会えた」
(え?なんの冗談…夢?幻?)
あまりの嬉しさにほっぺたをつねりながら
「えっ、と、また会えたって僕にですか?なんで…」
「なんでって、ちゃんと謝りたくて……。あの時急いでて謝れてなかったから」
(なんだ、そゆことね〜。少し残念だけど、こんなに綺麗で礼儀正しいなんて…)
「あの時はびっくりしただけで、全然平気っすよ!逆に怪我しませんでした?結構思いっきりぶつかったけど…」
「私は大丈夫です、怪我してなくて本当によかったです。あの、よく私がここに来るって分かりましたね」
(まあ、毎日見てるんで)
なんてこと言えるわけない。そんな理由なんて考えてなかった俺はみるみる顔が赤くなる。少しだけ戸惑いつつも、ずる賢い俺はすぐにいい答えを見つける。
「ここの花が綺麗で大好きで!こないだ見てたらたまたま先輩が居て……それで!」
俺ってずるい。綺麗事ばっかり。嫌になってくる。
「このお花の花言葉、憧れって意味なんです。好きって言ってもらえて嬉しいです。あ、あと、私のことは桜子って呼んで下さい」
"憧れ"……か……
《 第四話へ続く》
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