月の街道
思い出したように
見上げた先の月を
何となく羨んで
何となく慈しんだ
名前を呼んで
また時に溺れて
何も無い日へ
流れてゆくから
名前を呼んで
一人なら揺らいで
いつか見た夢に
落ちてゆくでしょう
街道を駆け抜ける
光の粒が軈て
追い越したカーラジオ
置いてゆく足音
名前を呼んで
忘れかけた昨日を
思い出さずに
歩きだす筈もなく
名前を呼んで
小さな言葉が
私の耳に
こだまし続ける
名前を呼んで
生温い風に乗り
懐かしい日に巡る
その声で
名前を呼んで
柔らかく響いて
宵の静けさを
溶かすように