九月、まだ夏の暑さが残る日々だった。あの子が学校に行き渋る、その一ヶ月前のこと。


授業中、息子が頭痛や腹痛、吐き気を訴えることが何度かあった。担任の先生に伝え、その都度保健室で休ませてもらっていたらしい。
ある日、彼はぽつりと「学校行きたくない」と私に告げた。その時の胸のざわつきを、私は見過ごしてしまったのだ。
「疲れているのかな?」勝手にそう決めつけた私は、深く詮索することなく「じゃあ、午後から行く?」と軽い言葉を投げかけた。息子は「うん」と頷き、本当に午後から学校へ向かった。その時の彼の後ろ姿は、いつもよりずっと小さく、どこか寂しげだったのを覚えている。

あの姿を、後になってどれほど思い出し、胸を締め付けられたことか。
元来、息子は頑張り屋だった。
その頑張りが、身体症状となって現れるまで、私は気づいてやれなかった。
限界まで彼を追い詰めてしまったのは、他でもない私だ。
あの時、「何かあったの?」の一言をかけていれば、何かが変わっていたかもしれない。
もしも、あの時…。
「たられば」を言っても詮ないことだとわかっている。それでも、後悔は尽きない。あの九月の残像が、今も鮮やかに胸に焼き付いている。