「水木しげる氏の社会風刺と人間論」

 

先日の日曜日に開催が終わった「ゲゲゲの人生展」。

長野市の水野美術館の特別企画展「追悼水木しげるゲゲゲの人生展」として、9月中旬に開幕し、約2か月余にわたり公開されていました。

 

 

水木しげる氏といえば、「ゲゲゲの鬼太郎」。

“ゲゲゲ”というのは、幼い時に名前を「げげる」と言っていたことであだ名になっていたためとか。

生涯をゲゲゲで表現できるほど、一貫した作品を表現されていたような気がします。

その時代、時々のご自分をありのままに…。

 

展示品を見ていると、社会風刺が現れているものがたくさんありました。

妖怪それぞれが意味を持ち、何かを伝えているのは、ゲゲゲの鬼太郎に登場する妖怪もそれ。

展示品の中には、長野県の妖怪を描いたものの展示もありました。(蓼科の「ビシンサマ」や、南佐久の「イジャロコロガシ」)

一番印象に残ったのは、1979年のアサヒグラフに掲載された「パイプの森の放浪者」でした。

堀江邦夫氏が原子力発電所の作業体験者となって、1979年の福島原発でのその労働を伝え、水木氏がそれを描いて可視化したものです。

 

戦争で片腕を失くした水木氏は、ねずみ男に「けんかはよせ、腹が減るぞ」といわせて、人生において“争うことの無駄”を説いています。

「火垂るの墓」で自らの戦争体験を描いた野坂昭如氏との交流があったそうで、ともに戦争の悲惨さを伝えています。

原発も戦争も一市民にとって闇であることを。

 

美術館で水木しげるグッズとして「カランコロンドロップス」を買い、家に帰って一日を思い返しました。

そして、ひとりの作家が生涯を通して一心に描いてきたものをさらに知るために、3冊の本を注文しました。

「ゲゲゲのゲーテ」「福島原発の闇」「ユリイカ※水木しげる特集(2005)」。

 

ドロップは、私の地元に製造工場があるサクマドロップスのもの。

「火垂るの墓」にも登場するあのドロップスの会社です。(戦後、ちょっと問題があり、今は青缶と赤缶の2社があります)

缶の中で、ドロップがカランコロン…。

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