「満州分村移民80周年…未来への継承」

 

この夏、大日向村の満州分村移民の学習会に参加しましたが、一昨日、映画「大日向村」を観てきました。

大日向地区のある佐久穂町での上映で、350名収容のホールに約600名が訪れ、立ち見者多数で関心の高さがあらわれた上映会でした。

 

この映画は、東宝が昭和15年に制作して全国で上映した16ミリフィルムの映画で、佐久穂町大日向の村民も参加して現地で撮影されています。

35年前の上映運動で地元有志が寄付を募り、東宝から入手したフィルムですが、劣化が進み、今回の上映が最後になるのではという貴重な機会でした。

 

 

映画「大日向村」は、国策としての満州移民を進めた村の物語です。

「キネマ旬報」にも大大的に紹介され、河原崎長十郎、中村翫右衛門、文学座の杉村春子などが出演する話題の映画だったようです。

南方への進出を進めていた昭和初期の日本は、朝鮮、台湾へと勢力を拡げ、インフラの整備をしていましたが、一方では満州への移民を増やすことを国内の財政難の対策にしようと計っていたようです。

大日向村は、“半村移民”(村民の半数が移民する)を計画し、村を挙げて実践したため、分村移民のモデルケースとしてさまざまなメディアに取り上げられました。

小説、紙芝居、歌舞伎、そして、文部省推薦映画。

この国策は、後に起きる戦争によって、満州開拓村から帰還する国民に、今に続く悲劇を生み出しました。

 

大日向村の悲劇を語る言葉の中で、最後に心に残ったのが、

「その村の風景が、そぞろに悲しい…」。

今も森閑と四季が移ろう山里です。