今回は腰痛の施術についてご紹介致します。
鍼灸雑記④〜腰痛の施術録〜
腰痛は色々な原因でおこるので、一概に腰痛の治療はこうです、とは言えません。一人一人の生活習慣や腰痛になった過程に応じて、治療を進めていきます。
ここではある一人の方の施術録をご紹介致しましょう。
今回の患者さんは慢性的な腰痛持ち。長時間のデスクワークを日々こなしています。座骨神経痛とも診断され、長く立っていたり、座ったりしていると右足に痺れが起きるとのこと。
腰をみてみると、力なく、ふにゃふにゃっとしています。鍼を打っても、豆腐に刺したかのようにスカスカです。これは東洋医学でいうところの「虚」という状態です。腰の皮膚から筋肉に、力強さ・張りを取り戻すように施術をしていきます。
力強さや張りを取り戻すには、鍼を少し長めに刺しっぱなしの状態にしたり、繰り返しお灸をしていきます。
すると血液が集まり、どんどん元気になっていきます。そして下肢の反応点に施術していきます。
膝裏にある委中というツボが、腰痛の際最も反応が出やすいツボです。
また東洋医学では、「腰は腎の府」と呼ばれ、腎経という経脈が腰痛の際よく反応が出てきます。
東洋医学の腎は生命力を貯蔵されていると考えられており、腎経への刺激は体の活力を鼓舞します。
そして生命力を生み出していくのが消化器系の脾と胃です。こちらの経脈も整えることで、より元気になっていきます。
この方は結構虚が酷かったので、結構繰り返しお灸をしました。反応点に力強さが出てくるまで、繰り返し施術をします。
そして起きて頂き具合をみます。するとだいぶ軽くなったとのこと。後日聞いてみると、帰りは階段を余裕で昇り降りできたとのことでした。
ここまでは良いのですが、ここからが本当の治療です。腹筋・背筋の力のなさが腰痛の原因になっていることを伝え、少しづつでも鍛えてもらえるように勧めます。
患者さんは幸いにもスポーツ経験者で、このことはあまり苦でなかったようで、少しづつ自主的に鍛えることを始められました。
そうしていくうちに適度に筋力がつき、ツボの虚もだいぶなくなりました。ご本人もだいぶ腰痛が軽くなってきたとのことでした。
治療者と患者さんは協力し合い、互いに良い方向へ進む努力をしていくのが理想的と思います。
ただそれができない方でも、それなりに役立つこともできます。
ご高齢の患者さんは、体の痛み自体はある一定の状態をキープしているのですが、これは草取りなどの作業をしなくてはならないからです。
痛みがすっかりなくなるわけではないのですが、治療を継続していることで家事をやることができると喜んで頂いてます(^ ^)
なのでその方その方に合った関わり方が出来れば良いのだと思います。