昨日の爽やかな5月の夕暮れ時のこと。
私は近所の公園のベンチで一人ボケッと座っていた。
公園では、5人くらいの小学生男子がサッカーを楽しんでいて、その子供たちの後ろでお母さん達が見守っている。

「みんな、学校行けなくて、遊びにも行けなくて、唯一の楽しみは公園で友達とサッカーなんだなあ」としみじみ思い、そして
これからの日本の未来が、どうか希望に溢れていますようにと願いながら
子供達の無邪気に走る姿を眺めていた。

そのとき、ボールがコロコロと私の座ってる場所に転がってきたので、私はボールを拾い、
「はい、どーぞ」と少年と同じ背丈になるよう腰をかがめて、ボールを渡した。

そのときだ。 その少年は一瞬にして
私の心を震わせ躍らせる一言を投げつけたのだ。


  「ありがとう、おねえさん」


お、お、おねえさんですてー!!!
キミ、わかってる??私はキミのお母さんよりもはるかに年上のオバチャンなんだよ。
キミ嘘ついたら、針千本だよ、閻魔さんに舌ぬかれちゃうよ。嘘じゃないの?
そう、、じゃあ私はキミの言葉を信じるわ。
キミがステキすぎて、竹内涼真に見えてきたわ。

そんなアホなことをデレデレ考えているうちに
後ろに立っているお母さん達から
  「この変態ババアめ!」
と睨まれてるかもと察知したので、
私は、思いきり背筋をピンと伸ばし、
おねえさんぽいクールな笑顔を残して公園を後にした。


帰宅して、夕食中の父母に
私はオバチャンでなく、オネエサンと呼ばれた自慢話を鼻高く話したら
父もお爺ちゃんじゃなく、おっちゃんと呼ばれてみたいのだと打ち明け、
私と母を仰天させた。

みんな小さな夢があるもんだ。