ヒバゴンの死骸

【hibagon cadaver】


見出し画像はヒバゴンの死骸とされている画像だ。これは飛鳥昭雄と三上丈晴による文を伴い月刊ムー2014年3月号に掲載され、その後2017年5月17日放映のテレビ番組「世界の何だコレ!?ミステリー」で紹介された。

説明によれば1980年代に広島県庄原市で発見されたのだという。


ムーおよびテレビ番組の時点では軽い紹介にとどめられ詳細な解析は行われておらず、分析および専門家への取材は、ヒバゴンを専門とするカナダ人のUMA研究家カイル・ブリンクと日本人のUMA研究家佐藤がそれぞれ独立して行っている。

カイルは霊長類学者、獣医、外傷外科医、小児外科医、放射線科医、血液学者、歯科医に取材し、佐藤は考古学者に取材を行った。


彼ら専門家の見解は、この死骸を分類するならば霊長類(サル目)であるという点で共通している。

考古学者はこれは大型類人猿というより中型のサルに類似した骨格であると述べ、血液学者はパラントロプスではないかと指摘した。


ここに類人猿とパラントロプス、そしてヒバゴンを比較した図と、ニホンザルとヒバゴンを比較した図を示す。


比較した中に、ヒバゴンのもつ斜め前方向に突出した厚さのある上顎吻部の特徴を持つものはいない。また、ヒバゴンの眼窩は小さく、三角形で、やや外を向いてついているのに対し、他の霊長類の眼窩は比較的大きくより丸く、前を向いてついている。また奇妙なことに、ヒバゴンは他のものと比べ鼻腔周辺がはっきりとしない。血液学者の主張するパラントロプスとヒバゴンは、頬付近が大きく張り出している点が共通するが、それ以上の共通点を持たない。


ムー掲載時に飛鳥昭雄と三上丈晴は「特徴から考えてゴリラの仲間と考えて間違いないだろう」と書いているが、前述の通り形態上これはゴリラなどとは一致していない。



専門家は、いくつかの点でヒバゴンの死骸は本物的であるとした。

考古学者は、この死骸の上顎第二大臼歯の歯根に歯槽膿漏によって上顎の一部が溶けた痕跡があることを指摘した。これは偽物と考えるには緻密すぎるのだという。

また、奥歯の咬頭が顕著であることも本物的であると述べられている。


一方で否定的な見解が提示された特徴も複数ある。

いくつかの観点では、カイルの取材した専門家と佐藤の取材した専門家の見解が真っ向から対立した。

佐藤が取材を行った考古学者は、皮膚と肉の消失が死骸漁りによるものであれば通常下側から失われるが、この死骸では上を向いた顔面の肉が失われ骨が露出している点で奇妙だと指摘した。

一方、カイルは積雪がこの疑問を解決するかもしれないとした。雪の下に埋まっていた死骸が雪解けと共に露出する際、身体の上側から先に雪上に出るため、ネズミやカラスなどが顔面から率先して死骸漁りを行ったのではないかという。


次に議論となった点として歯が黒いことが挙げられる。カイルは豊富な鉄を含む環境による沈着、カイルの取材した獣医ジャン・フィリップ・ウォーティは歯を保護するセメント質に葉緑素由来の鉄成分沈着であると考えた。しかし、考古学者は、沈着でこのような色を呈するとは考えにくく意図的に塗装しなければこうも黒くはならないと指摘した。


考古学者はこれに加え、カイルの取材した専門家の指摘していない、より否定的な見解を述べた。

霊長類では頬骨の側頭突起と側頭骨の頬骨突起が連結して形成されるはずの頬骨弓が、ヒバゴンの場合頭蓋から離れ下側に伸びている。この特徴を持つものは他におらず、ヒバゴンという種の独自の特徴というより捏造を強く示唆する証拠となる。


またこの画像の出所が飛鳥昭雄である点も考慮せねばならない。

飛鳥昭雄はUMAに関する著書などにおいてCGIモデルと思しき、同様の質感を共有する耳介を有する恐竜や翼竜の画像を複数掲載している。彼は恐竜は哺乳類であると主張しており、このことから自身の主張を広めるためなどの目的で実際には発生していないUMAの目撃や写真を捏造している可能性が高い。

飛鳥昭雄は自身のイベントにおいて、この死骸の撮影に携わったという発見者の子供を名乗る人物から写真を得たとしているが、飛鳥昭雄は前述の耳介恐竜の写真に関してはしばしば軍由来の写真であるなどとバックストーリーを創作しているとみられる言動をとっている。死骸の特徴だけでなく、発見者の存在自体が懐疑の対象となるべきではないか。