いつものように家族信託セミナーを行い、その後個別相談をさせていただいたお客様の話です。

 

後日お姉様ともお話し合い、いよいよご両親との面談となりました。

信託の内容により、今回は私どもの顧問弁護士も同行したのですが、なんとお母様が玄関の外で今か今かとお出迎えしてくださっていたのです。

弁護士と2人大変恐縮いたしました。

 

お母様がゲートボールで全国大会に出場したお話など、ひとしきりお聞きした後、『これからお2人が万一認知症や介護になった時のために、娘さんに預金の一部とご自宅を託されてよろしいですか』とお話させていただきました。

事前に娘さんからも丁寧な説明をしてくださっていたようで、『是非お願いします。』とのお言葉がいただけました。

終始和やかで温かいご家族の話し合いの場となりました。

 

帰りの電車の中で、弁護士がしきりに『いいご家族でしたねぇ。』『あんなご家族に会った事ない。』などと話していて、「先生は辛い家庭環境で育ったのでは?」とも思いましたが、もちろんそうではありません。

よく考えれば当たり前のことなのですが、弁護士が仕事する時というのは、争いや揉め事となったご家族の相談がほぼ100%なのです。

そこへ今回初めて、いい意味で普通の温かいご家族の話し合いの場に立ち会っていただいた訳です。

対して、通常私たちは、揉めているご家族へのご説明はむしろごく稀です。

 

改めて、家族信託で一番大切なことは「家族の気持ちがひとつとなること」と感じました。

そしてまた普通のご家庭をひとつひとつ訪問する度に、この仕事のやりがいを思い出すのです。

 

 

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民事信託相談センター

 

最近、家族信託の仕事も少しずつ軌道にのってきまして、ご相談の際にお客様宅へ訪問することも増えています。

 

自分で言うのも何ですが、私は高齢者とお話することは得意なほうで、比較的短い時間で打ち解けます。

 

しかし、あるお宅のお父様は明らかに違っていました。いつものように満面の笑みで訪問しても、お父様の反応がひとつもありません。お母様はとても優しく迎えてくださいましたが、どんなに話題を向けても、ほとんど返事もなく、じーっと黙ったままです。

セミナーにご参加くださり、今回ご依頼いただいた娘さんも、苦笑いです。

さすがの私も、どのように家族信託をお伝えしたら良いかわからず、考えてしまいました。

しかし、しばらくして娘さんから助け舟が。

『お父さんやお母さんが認知症になったら、銀行とか止まってしまう。そうなったら困るでしょ。私にはお父さん達の治療代とか払う余裕はないから。そのためにこの方に来てもらったのよ。』と、しばらくやり取りが続き、

最後に私が『娘さんのお話を聞いてどう思われました?』とお聞きすると、お父様から衝撃のひとことが

 

『娘は絶対に騙されていると思った。』と。

 

よくよく聞くと、お父様は銀行員から様々な詐欺等あやしい話を聞いていて、そこに娘が聞きなれない「家族信託」なるものの話を持ってきたので、一生懸命説明するほどに益々あやしく思っていたとのことでした。

 

私は思わず大声で笑ってしまいました。

『それはそうですよね。家族信託なんて初めて聞くことで、こんな小太りのあやしい男が訪ねてくればねぇ。』

そこで初めてお父様も少し笑ってくださいました。

一度目の訪問はそこで終了しました。

 

 

さて、二度目の訪問です。

最初は『やっぱりどうも信用できん!』からスタート。

また2時間近く世間話をして帰りました。

 

 

後日、娘さんからお電話があり、『やっと父が前向きに話を進めたいと…。』とのこと。

実はウラで娘さんが、頑なな父親に時間をかけて説得してくださったようです。

 

三度目の訪問の時には、お父様も笑顔で迎えてくださいました。

そして後日、公証役場へ行った際には、『今日は清水の舞台だ、緊張する。』と、震える手でご署名してくださいました。

 

契約終了後、皆でいただいたケーキセットの味は格別でした!!

 

 

私達でできることは、「家族のこれからの願いや希望を形にするためのお手伝い」なのだと、つくづく感じた件でした。

契約書を作成すること自体が目的ではなく、まして上から目線で指導的に話をするのでもなく、一件一件ご家族のもとへ出向き、家族のお話に参加させていただくことが大切で、私達が得ることもたくさんあります。

これからも、家族によりそう相談者でありたいものです。

 

 

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私の父親は、今年92歳になりました。

更にここ最近多いのが、父以上にご高齢の親を持つ方のご相談です。

 

つい先日のご相談者も、お母様は96歳とのこと。

してまだまだお元気でしっかりしているそうです。

 

家族信託は、介護や相続の準備でもあります。

このようなお元気な高齢のご相談者がいらっしゃることは、何より幸いです。

人生100年時代。

お年寄りが元気な日本にしたいものです。

 

 

 

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