魂の旅　ハワイ島編　⑲渋滞はこうして起こった？！

このハワイ島の旅で準備の段階から何かとわたしを翻弄しまくる相棒のSさんは、わたしのハイヤーセルフの代行者、すなわちわたしがこの旅の課題を遂行するにあたっての不可欠な協力者でありまして、言ってみれば狂言回しの役割を引き受けてくれている存在なのです。とは言うもののこの時点ではそういう確信を持てずにいたわけで、疑心暗鬼になる自分自身とどう折り合いをつけていくのか、これからわたしに次々と襲い掛かる現実に、いちいち振り回されては動揺するわたしの反応をお楽しみくださいませ。

わたしの言葉につられて、道から目をそらしたSさんがハンドルを取られて対向車線を大きく越えてはみ出したものの、危うく難を逃れて命拾いしたのは、道が空いていて対向車が迫ってなかったことが幸いしました。

すぐさま、わたしは自分と車にグラウディングを行い、天女の魔法の言葉を唱えて、動揺した心を平常心に戻したのですが、Sさんの運転がまだ初心者級だと知った今は、Sさんが運転に集中できるように、わたしはしばらく黙っていることにしました。

Sさんもこれに懲りたのか、スピードを落として安全運転を決めたようです。メーターが40マイル（時速64キロ）を超えたら教えて欲しいとわたしに云いました。

キャプテンクックを過ぎてしばらくはこれといった観光スポットがなく、前方にまったく先行車両が見えないからか、ちょっと油断するとスピードが上がります。そんなわけで、その都度小まめに注意を促すのがわたしの重要な仕事になったのでした。

やがてわたし達の車にぴったり張りついている車がバックミラーに映っているのに気がつきました。追い越し禁止なのか、そのまま張りついた状態がしばらく続いてから、Sさんがおもむろに口を開きました。

どこか車を寄せられるスポットがあったら、そこで車を停めて後ろの車に道を譲ろう、と。

まもなく適当なスポットが見つかり、車を停めて後ろの車を見送ると、それに続けとばかりに次々と車が追い越して行くではありませんか。その数７~８台。なんとこんなガラガラに空いた道路でわたし達が交通渋滞を引き起こしていたなんて。

やれやれとまた車を走らせると、ものの5分もしない内に後ろに新たな車が張りついているのに気づいたわたしは、Sさんにそう報告しました。

するとしばらく考えてから、Sさんは重大発表をするかのごとくにきっぱりとした口調で云いました。

わたし…、誰にも気兼ねなく自分のペースで走ることにした、と。

後続車が何台張りついていようが、このままマイペースを貫くと云うのです。

だったらどうぞ好きにしていいわよ、わたしはちっとも構わないから、とわたしは応じました。