きっとこの頃からだと思う。
私の、始まりは。
音楽教室でのイベント後、ドラムの男の人と一緒に、ボーカルとギターに20代前半の女の人を2人新しく迎えてバンド活動をしていた。
練習を重ねて曲数も増え、ライブしたいねという話になった。
ライブハウスを借りてやろうかとなったが、さすがに1バンドだと厳しいから、他のバンドを誘おうかとなった時にドラムが、
「そーいえばさ、あいつも今新しくバンド組んでやってるらしいから、声掛けてみようかな?」
初恋の彼、たかしのことだった。
「OKだって!楽しみだなー!」
あれ以来私たちは連絡を取っていなかったので、
ライブ当日に久しぶりに会う。
当日、本番前のリハーサルで、
「おおー!久しぶりー!!」
と明るく現れたたかしは、以前と何も変わらない様子で話しかけてきた。
「ちなみにさ、うちのメンバー2人とも多分同い年だから、仲良くしてやってよ!」
たかしに紹介されたメンバーは、ベースが女の子でドラムが男の子、どちらも私と同い年だった。
2人ともちょっと控えめな感じで、相変わらずたかしはバンドのムードメーカーだった。
ライブで久々に歌声を聴いて、
(やっぱりこの声好きだなぁ。)
少し胸がキュッとなるのを感じた。
このライブをきっかけに、私たちはまた連絡を取るようになった。
そして身体の関係が始まった。
私はたかしのことが変わらず好きだったし、
こだわっていた「初めて」でもなくなったから、
展開は早かった。
彼女とはまだ付き合っているようだったけど、あえて聞くことはしなかった。
以前と何も変わらないたかしだったが、1番変わったことがあった。
身体だけの関係になってしまったこと。
以前のように、頻繁にメールでやり取りすることもない。
2人でどこかに出掛けることもない。
バイクで送ってくれることもない。
ただ、連絡があった日に、夜中そっと家を抜け出し、
自転車で3駅先の彼の家まで私が行く。
家族が起きるまでに帰らなければいけないので、
コトが終わるとまた自転車で家に帰る。
完全に都合のいい女。
ただのセフレ。
それでもよかった。
好きだから、ただ一緒にいたかった。
求められるのが、嬉しかった。
つづく
