【AFP=時事】
パイナップルを漬けたお湯を飲むと
がん細胞が死滅するとの情報が、
インスタグラムやフェイスブックで
拡散し続けている。
しかし、この情報は誤解を招くもので、
専門家らは、
パイナップルを漬けたお湯が
がん治療に有効であることを示す
十分な証拠はないと指摘する。
先月27日にインスタグラムに
投稿された同様の情報には、
6600を超える「いいね!」が付いた。
投稿には
フェイスブックの投稿の
スクリーンショットが添付され、
「パイナップルを漬けたお湯で
一生救われる」といった文や、
「パイナップルのお湯は
がん細胞を死滅させる!」
との文も添えられていた。
■証拠不十分
専門家らによると、
パイナップルには
健康に良い栄養素が
豊富に含まれてはいるものの、
がん治療に有効であることを
証明する十分な証拠はない。
インドネシアがん基金会長の
アル・ウィサクソノ・スドヨ博士は、
「りんごやアボカドなどの果物のように、
パイナップルは健康に良い。
健康全般と免疫系の維持にも役立つ」
としつつも、
「それ以上のことはない」
と指摘する。
パイナップルをはじめ、
健康に良い果物や野菜の摂取が
がんのリスクを減らすことに
寄与することはあるものの、
医療やセラピーとは同じではないと
認識することが重要だと
スドヨ氏は強調した。
パイナップルに含まれる
酵素の一つであるブロメラインは、
がん細胞の成長を抑えるための
栄養補助食品として
研究が進められているものの、
人体への効果について
何らかの結論を下すような研究は
十分に行われていない。
■「奇跡の食品」は存在しない
仏国立がん研究所(INCU)の
広報担当者は以前、
がんの治療に役立つ
「奇跡の食品」は
存在しないと語っている。
AFPは以前にも、
サワーソップやレモン水、
あんずの種、タンポポの茎や
抽出物といった食品についても、
がん治療で効果があるとする情報は
デマであると明らかにしてきた。
また、パイナップルが
原料の飲料が
新型コロナウイルス感染症に対する
「自然治療薬」だとの主張も、
うそであると証明している。