ある日、いつものように成田便に乗務すべく Crew Roomに入って
PCにチェックインすると 

「特別フライト 搭乗手続き早めに」とメッセージがありました。

周りを見回しても 一緒に乗務する日本人クルーは多分クルー用のDuty free shopに行ったのか 誰も居ません。
(IDバッジで更に安く買えるのだ)

前もってこの件に何も連絡なかったので意味不明のままクルー用のセキュリティに向かいました。

と、私の教官だったEDDYが
「今日は早めに行こう。ロイヤルフライトだよ。」と合流。

バッジや荷物の検査はいつも以上に厳重でした。

「どなたが?」

「ファビオラ王妃様」

「お忍びですか?」

「そう プライベートで お付きの人数人とね。 特別フライトで 今日僕呼ばれちゃった。」

「ファースト貸し切り?」

「いや、仕切るから 半分だけ」

じゃあ 私には関係ないかな…。
私はエコノミークラス担当だし…。

実際、いつも私たちのブリーフィングはファーストクラスで行っていましたが、この日はブリーフィングも早々で 「じゃ!」
ファーストクラスには必要最低限の人間しか入れませんでした。

一般のお客様には そんなことは微塵も見せず 定刻通りにジャンボは飛び立ちました。



そしてフライトの最重要イベント「免税品販売」が終わると 先のEDDYから前においでと日本人クルー全員にお呼びが掛かりました。

行ってみると、
ファーストクラスのカウンターに佇む 小柄な女性がファビオラ王妃様でした。



私がお目に掛かった頃のファビオラ王妃様

身長150cm台でとにかく小柄な方でした。
でも 張りがあって写真からは想像できないほど低いお声。

「So…みんな揃ったの? ええっと…あなたたちは英語かしら?フランス語?フラマンじゃないわよね。 私日本語分からないわ」

EDDYと女性パーサーが「英語で大丈夫です」

確かあの時は日本人クルーは先輩2人と私と同期の子と4人乗務だったかな。

生まれて初めて 膝を下げるご挨拶をさせていただきました。
「Your Royal highness,  pleased meet you 」

オバマ大統領夫人に関連した画像-05




ファビオラ王妃様は1960年にスペイン王室からお輿入り。
多言語国家のベルギーに於いて それぞれフランス語、フラマン(オランダ)語、ドイツ語、英語 と全てをマスターされたので国民からは絶大な人気を得ていらしたそう。


本当に美人。

既に亡くなられていたボードワン国王様ととても仲がよく 日本の皇室とも近かったようで ファビオラ様がお亡くなりになったとき 美智子様が参列されていたのをTVで見ました。

この写真から見てもとても聡明な方だったんだろうな。
いつもカメラを持ち歩いていたけど 恐れ多くて一緒にお願い出来なかった。

それも思い出。