先週の実習がハイポまっしぐらだったため、午前中に学生の休憩室に向かうのですが、最近は勉強している同級生が多いです

彼らが勉強している教材を見ると、研修医向けの鑑別メインの参考書が殆どです


その中でもよく解説されている院内発熱について、感染症内科で教わった内容を勉強し直そうと思います


院内発熱には7つのDと言われる鑑別があります

Drug 薬剤熱

CD C.difficile腸炎

Device ルートやドレーンからの感染

DVT 下肢静脈血栓

Decubitus 褥瘡

CPPD 偽痛風

Debris 胆嚢炎

(さらにDeep abscess 深部膿瘍を加える場合もあります)

感染症を疑う所見(例えばqSOFAみたいな)があれば、血培や尿検査、また肺炎がないか胸部X線で確認できます


7つのDですが、問診や簡単な診察で分かるものもあります

薬剤熱ですが、内服をチェックします。特に発熱しやすい薬剤として抗菌薬、抗けいれん薬(フェニトインなど)があるそうです

CD腸炎は下痢の有無を確認します

Deviceに関してはルート刺入部やドレーン、また蓄尿袋を確認します

DVTや褥瘡、関節炎、胆嚢炎は身体診察の中で診ていきます。また手術後の患者さんは創部もチェックします。またDVTみたいな血栓や血腫が原因で発熱することもあります


さらに先生から変化球の7つのDを教わりました(また筋骨格系の病気ですが許して)


高齢の患者さんで、首を回すと痛いとの訴えがあります。話を聞くと痛みは急性に発症し、発熱も伴いました。痛みにより頚椎の可動域は著しく低下し、特に回旋により激痛が走ります


知らなかったのですが、Dの1つの偽痛風でもこのような訴えがあるそうです


Crowned dens syndrome (CDS)と呼ばれ、C2歯突起から環椎横靭帯にピロリン酸カルシウムが沈着することで起こります

血液検査で白血球やCRP上昇が見られます

CTで歯突起周囲に石灰化像が見られたら診断がほぼ確定します(ちな石灰化なのでMRI T2では黒く写ります)

下図は症例(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1100764)の画像です



髄膜炎、感染性脊椎炎、石灰沈着性頸長筋腱炎、咽後膿瘍などが鑑別に挙がります。以下にCDSとの違いを書いていきます


まず髄膜炎ですが、首の屈曲の方が回旋よりも症状が強いです。CDSでは回旋時の症状も強いです


感染性脊椎炎も炎症反応が見られ痛みが強いことで症状が似ています。腰椎や胸椎に比べて頚椎は少ないです。MRI T2で白く映るなど画像でCDSと鑑別できます


石灰沈着性頸長筋腱炎や咽後膿瘍では喉の痛みが見られます


CDSの治療としては、NSAIDsの服用や安静が取られます。2週間ほどで軽快するとされ、予後の良い疾患です


同じ訴えでも、重症度や緊急性に大きな違いがあるため、鑑別診断は大事だなと思う日々です


参考文献

https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/160960-1-09.pdf

ガッツリ勉強らしさが出過ぎたので、少しフランクな医学の勉強をまとめたいと思います


皆さんは走ってる時に脇腹が痛くなったことはありますか?私は昔から食後の運動の際に高頻度で痛くなりますあれ結構辛いんですよね、運動する予定がある前はなるべく食べないで過ごすようにしています


実はこの現象はスポーツ医学でもよく知られたもので、Exercise-related transient abdominal pain (ETAP)と呼ばれています。一般的にランニングみたいな背を伸ばした姿勢での運動の際によく見られるそうです


現在分かっていることとして

腹部のどの部位でも起こる

特に肋骨に沿った、おへそより外側が痛いことが多い

食後であることで増悪し、特に高張である飲料が痛みを起こしやすい

若年者に多い

性別や体型との関連は見られない

十分トレーニングした選手では頻度は低いが痛みと無縁ではない

などが言われています

痛くなった部分の割合を示した図は下のようになります(Sports Med. 2015; 45(1): 23–35からの引用)



(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4281377/)


病態生理として、横隔膜の虚血、腸管内ガス貯留、振動による腹膜の炎症、胃腸の虚血、腹筋の痙攣、脊髄神経が関係する、など様々な説が挙げられていますが、完全に解明されてはいないらしいです


個人的には虚血じゃね?と思ってお腹を見ていましたが、当たってるのでしょうか笑



ETAPをなるべく防ぐ方法として、

運動前の少なくとも2時間は沢山食べない

特に高張性化合物を避ける姿勢

胸部の姿勢を改善する

体幹の筋力を向上する

お腹の内臓を支えるためのベルトを着用する

などが一般的に言われています


ガスが原因なら食事の内容を変えることでも改善できるかもしれません

こうした身近な体の疑問についても、ガッツリ研究がされていて面白かったです

絞扼性神経障害として有名なものに手根管症候群、肘部菅症候群がありますが、CBTでは前骨間神経麻痺、後骨間神経麻痺というものも出てきます


国家試験的には


•前骨間神経麻痺、後骨間神経麻痺はどちらも感覚障害は伴わない

前骨間神経は正中神経の枝

•後骨間神経は橈骨神経の枝


などが重要事項として知られます。しかし、正中神経、橈骨神経の走行がどのようであり、どこが障害されるのかあまり意識して勉強したことがありませんでした

そのため解剖を中心に勉強したことをまとめたいと思います!


1.正中神経の走行

正中神経は円回内筋の上腕頭と尺骨頭という2つの起始部の間を走行します。下図は論文(https://www.mdpi.com/2077-0383/11/14/3988)からの引用です


前骨間神経は正中神経から肘の少し上あたりから分岐します

前骨間神経が支配する筋には

•長母指屈筋

•示指深指屈筋

•方形回内筋

があります


長母指屈筋や示指深指屈筋が麻痺することで、母指IP関節、示指DIP関節が屈曲できません。そのため母指と示指で〇を作ろうとすると、涙滴型になります(teardrop signと呼ばれます)


さらに遠位では前骨間神経は方形回内筋や遠位橈尺関節や橈骨手根関節に広がります。全く違う話になりますが、橈骨遠位端骨折に対するプレート挿入の手術では方形回内筋下にアプローチする必要があるため、前骨間神経の保護を考える必要がありそうです


2.橈骨神経の走行

上腕骨を取り巻くように走行したのち、肘周囲で運動ニューロンからなる深枝と、感覚ニューロンからなる浅枝に分かれます。橈骨神経深枝はFrohseのアーケードと呼ばれる回外筋で作られるアーチ状の構造を通過すると後骨間神経となります。下図はhttps://www.orthobullets.com/hand/6024/radial-tunnel-syndromeからの引用です


後骨間神経が支配する筋には

•指伸筋

•長母指伸筋

があります


指伸筋が麻痺することで、手関節は伸展しますが、指関節は進展できず手指が垂れます(drop fingerと呼ばれます)


3.症例

脂肪腫による後骨間神経麻痺の症例報告があったため、掲載いたします


Posterior interosseous nerve palsy caused by lipoma: A case report(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2827290/)

 2009 Winter; 17(4): e42–e44からの引用になります


指伸筋の筋力低下が見られています


腕橈骨筋を展開すると脂肪腫が見えます



以上が新しく勉強したことになります

2年生で習った解剖の重要性を、実習の中でとても感じます





ポリクリであらゆる診療科を回るのですが、必ずと言っていいほど指導医の先生に

しっぽ先生は何科志望なの?

みたいに聞かれます。私は整形外科志望ですと答えるのですが、そう答えると先生方は整形に関連した事項を教えて下さることが多いです。

循環器内科を回っているときに教えていただいた、ガイドライン中のCQについてまとめたいと思います!

 

医学部の勉強では大動脈弁狭窄症(AS)と大腿骨近位部骨折は全く別の科目で勉強しますが、高齢化社会においてどちらも増加している病気です。そのため大腿骨近位部骨折で運ばれてきた患者さんの心エコーを取るとASだった、という場合も考えられます

 

特にASの中でも、①大動脈弁口面積≦1cm^2、②左心室から大動脈への最大血流速度≧4m/s、③左室-大動脈圧較差≧40mmHg、では特に重症とされ、狭心痛や失神といった症状がある場合大動脈弁置換の適応になります

しかし骨折を合併した場合、2つの疾患をどう治療するのでしょうか?

 

「2022年改訂版 非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」

(https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_hiraoka.pdf)

には以下のように記載されています

 

CQ.重症大動脈弁狭窄症(AS)を合併した高齢者の大腿骨頸部骨折,転子部骨折患者に対し,術前に大動脈弁置換術(AVR)(外科的大動脈弁置換術(SAVR),経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI))を施行することを推奨するか?

 

推奨

重症 AS を合併した高齢者の大腿骨近位部骨折患者に対し,血行動態が安定している場合,AVR(SAVR,TAVI) を施行せずに,厳重な血行動態の管理(*)のもと骨折手術をすることを提案する.GRADE 2D(推奨の強さ「弱い推奨」/ エビデンスの確実性「非常に低」

血行動態が安定化できない症例では,術前に経皮的大動脈弁置換術,バルーン大動脈弁形成術を行うことは選択肢になりうる

 

KQ.重症ASは大腿骨頸部/転子部骨折手術周術期のリスクになるか?

 

死亡リスク,心筋梗塞リスクを増加させるとはいえない(D)

心不全リスクが増加する可能性がある(D)

 

要約すると、「心不全のリスクを上げる可能性はあるが、骨折手術を優先することを推奨する」みたいになります

手術を延期することによるリスクとして、死亡率上昇、身体機能低下、急性期の高度疼痛、せん妄、褥瘡、感染症が知られています。心不全のリスクよりも骨折手術による疼痛、QOLの改善を優先するという結論だと思います

 

座学では個別の疾患の勉強となりますが、実習では複数の疾患を抱えた患者さんが多いと感じます。こうした場合に、どのようなタイミング/順番で治療するのかという勉強も必要なのだなと感じたりします

第1段は医学生ならOSCEで必ず経験する腱反射について書こうと思います

 

腱反射って何だ?って話から始めますが、一言で言うと"筋肉が外力で引き延ばされたときに筋肉が縮もうとする反応"のことです

腱が伸びると筋紡錘から脊髄後角のニューロンに信号が届き、後角ニューロンが前角ニューロンに信号を送り、結果筋肉が収縮します

つまり筋肉と脊髄内のニューロンの間のコミュニケーションに障害が起きれば腱反射は低下します。具体的には神経根障害、馬尾障害、末梢神経障害などになります

 

しかし関節運動する際に筋肉は必ず伸長しますが、腱反射が常に起こると筋肉が伸びたり縮んだり、運動しにくそうですよね!

それを防ぐために中枢からのニューロンが腱反射の神経回路を抑制しています。普段は抑制されることでスムーズな運動が可能ですが、脳や上位脊髄の障害により腱反射が亢進していまいます

 

こうした神経診察の基本と言える腱反射ですが、整形外科と小児科で担当患者さんの診察をさせて頂いた時、全く上手く取れませんでした(せっかくOSCEで練習したのですが)

ということで、医学生なりに学んだ腱反射のコツを共有したいと思います!

 

1.腱反射の亢進

上肢は上腕二頭筋(C5,C6髄節)、腕橈骨筋(C6髄節)、上腕三頭筋(C7髄節)で取り、下肢は膝蓋腱(L1-L4)、アキレス腱(S1)で取ります。しかし何をもって亢進と判断するのか、あまり詳しく勉強したことがありませんでした

 

はじめに、腱反射の基本は”腱”を叩くことにありますが、”筋肉”を叩いてみるという裏技があります

筋腹を叩いてみて反射が出た時、亢進と判断することができます

また筋肉は神経により動くため頻回刺激では通常不応期が出ますが、叩いた回数反射が出た時も亢進と判断できるそうです

 

また腱反射は患者さんが叩かれる部分を意識してしまうと出にくくなることが知られています

これに対してはJendrassik手技というものが知られています。これは下肢の反射を診る際に、患者さんの両手を組んで引っ張り合って、力比べをして頂く方法です。

 

2.OSCEで出ない腱反射

上肢の腱反射には他にもHoffmann反射、Tromner反射が知られています

これは中指のMP関節を伸ばした状態で中指DIP関節を掌側、背側にそれぞれ弾いてみて、親指の動きを見ます

母指IP関節が屈曲すれば陽性と判断できます。深指屈筋と長母指屈筋(C8髄節)の反射で、陽性ならば頸椎疾患を疑います

 

 

もう1つ肩甲上腕反射というものがあります。これは上腕二頭筋腱反射で診られるより高位の脊髄節(C1-C4)の異常を診るための反射となります。下顎反射と上腕二頭筋腱反射の間のレベルを診るのに有効な方法です

肩峰、肩甲棘を叩いてみて、肩甲骨が挙上したり、上腕が外転すれば陽性となります(論文のリンクを貼っておきます)

 

 
以上が新しく学んだことでした
打腱器のみで全て行うことができる手技ですが、反射が取れれば病巣のある脊髄や神経高位をおおよそ予想することができます。こうした診察のシンプルさも、脊椎脊髄の面白さだと思いました
 

 

 

はじめまして、私はしっぽ(芸名)と申します

何もおもんない名前ですいません💦

 

はじめは大学に入学した時にTwitterと平行して日記代わりにつけようとして立ち上げたブログだったのですが、使い道も特にないためしばらく放置していました

しかし医学の勉強をしてみて、面白いと思ったものを自習用にまとめたいなって思い、このブログにまとめて共有したいと思ったため再開しました!

飽き性な性格ゆえ大きく育つ前に放置する気しかしませんが、読者の方はよろしくお願いします!

 

【自己紹介】

現在どっかの大学の医学部の5年生です、出身地の近くの大学に通っております

同級生にはハニーシッポと呼ばれています、顔がハニーシッポって感じらしいですw

入学試験の面接でスポーツ整形に興味あると申したのですが、今のところ整形外科志望で変わりないです

大学でも2年ぐらい整形の研究室で神経細胞を中心にwetな研究をしていました

その経験から整形外科でも関節だけでなく脊椎外科に興味があります

趣味は休日のフットサルとジャズを聴くこととインドカレーを食うことです、どれもコスパ最強の趣味です!

あと最近ラグビー観戦も楽しいです(ルール知らない子が多いため布教したいです)

バイト先でジャズ流れててオシャレだなって思って、平日ピアノの習い事しています(見せれるレベルでは全くないですが('ω'))

これからサイクリングや筋トレもしてみたいです

 

勉強以外にもまとめたいことがあれば書くかも知れません、よろしくお願いします!!