肉団子閑居為不善 -5ページ目

徳之島の憂鬱

米軍普天間飛行場移設問題で、鳩山首相が移設候補地としてあげられた徳之島を訪問する意向を示したが、地元住民は交渉を拒む姿勢を示している(沖縄タイムズ記事)。

もちろん、沖縄県内移設についても沖縄知事自ら反対集会に出席することも決まり(読売新聞記事)、沖縄も県内移設反対の姿勢を強めている。

社民党はグアム、あるいはテニアンへの移設を希望しており、これだけ大きな反対があるということからすれば、アメリカ軍は日本から出て行くべきだというのが民意なのだろう。

報道各社の記事では、今回の米軍普天間基地移設問題が挫折した場合、首相の進退問題に発展すると報じているが、いまのところ表立ってそのような事を発言している民主党議員はみうけられない。

これまで米軍基地の問題を問われたとき、我々日本本土ヤマト側の人間は、沖縄ウチナー側の負担に敬意を表しつつもしょうがないという意見が大半であり、語る言葉もあまりなかったと思う。

ところが、鹿児島県や長崎県など移設するという風評がたつたびに現地で大きな反対の声があがる。これを地域エゴと呼ぶべきかどうかわからないが、こうした問題に日本全国がまきこまれ、国民大衆が米軍基地が日本に存在する是非について考え意見を表明するという事態は1970年代を除けばなかったような気がする。

おそらく、普天間基地の移設は挫折するのではないだろうか。そして、それは鳩山首相の思う壺なのではないかという気がする。なぜならば、今回の事件によって広く、深く、我々日本国民は米軍基地排斥という意見でまとまってしまった。自民党の議員ですら基地反対運動に参加するという、ある意味目眩のするようなできごとすら生じている。

アメリカ軍基地はいりませ~~~~ん!と自民党の元防衛大臣が、アメリカ軍基地移設反対の先頭に立って叫ぶという日を想像できたであろうか。ベトナム反戦運動や反安保闘争のアジビラやバリケードが赤々と立ち並び、催涙ガスの香りただようあの頃のキャンパスにいた若者達に、こういう話をしたらきっとで笑い転げたに違いない。

今回のできごとは鳩山政権の失政ではない。これは一種の計画倒産のようなものだ。鳩山と民主党に一泡吹かせようという慌て者達が、すっかり反米、反基地の世論を広めてしまった。これからは高まる世論を背景にさらに強硬にアメリカに接することができるようになるだろう。

その先にあるものは、よくわからない。

クリントン元大統領がTea Party movementに苦言

FOXNews.comの報道によると民主党のクリントン元大統領が日曜日に放送されたABCの番組で、政治的に意義をとなえることは必要としつつ、政府を悪魔であるかのように批判することは過激派の暴力を煽り危険であると発言したそうだ。

記事によれば、これに先立って金曜日のオクラホマ爆破事件15周年のシンポジウムでも同様の発言をしており、「右派の暴力について言及することは逆にテロリストが活躍する舞台を作ることになる」と、有名保守派ラジオトーク番組のホストRush Limbaugh氏から批判を受けていた。しかし、日曜日の番組の中でクリントン元大統領は、むしろ右翼メディアのふるまいがオクラホマ爆破事件前の敵対的ムードを彷彿とさせると反論、

「私は90年代初頭から現在との間にたくさんの類似があることを認識している、経済のひずみ感、人々の感じる不確実さのレベル、ある種のアイデンティティーポリティクスのもりあがり、民兵運動のもりあがりと右翼的ラジオトーク番組、さまざまなブログ界で今おきていること、そして右翼メディアの中など。たくさんの出来事が語られてきた、彼らは、(オクラホマ爆破事件の犯人である)Timothy McVeighがそうだったように、混乱しているがゆえに暴力の誘惑にかられる人々の間に、ますます行動したくなる風潮を作り上げた。」

と語り、Tea Party movementに代表される台頭するアメリカの草の根右翼運動がオクラホマ州連邦庁舎爆破事件を彷彿とさせるような暴力を助長しうると警句を発した。

オクラホマ州連邦庁舎爆破事件をひきあいにだして反政府テロリズムを懸念するこの発言の背景としてあるのは、最近急増している国会議員に対して行われるテロ行為の増加だという。

オバマ=悪魔というのはこれ。キリスト教の影響が強く、聖書の内容をそのまま信じている人も少なくないアメリカでは、これはカリカチュア以上の意味を持つ。悪魔ではないけれども、それを連想させるようなこんなのも以前からある。

日本だけでなく、アメリカの政治もまた混乱している。アメリカの民主主義が常に正しいというのは幻想だし、こうした状況から出てくる様々な報道や論評もまた、絶対視することは危険だ。小異をあげつらって本質からかけはなれた誹謗記事を書いている日本の某巨大新聞には聞こえないかもしれないが...。

鳩山氏を笑っていられますか?

毎日新聞の報道によれば、核安全保障サミットに出席した鳩山首相がオバマ大統領と短時間の会談を行なった際、普天間飛行場移設問題について「首相が「5月末決着」を明言し協力を求めたのに対し、オバマ大統領が「最後までやり遂げることができるのか」と強い不信感を示し」たということだ。

鳩山氏の手腕の拙さを攻める向きは多いが、名護市のキャンプシュワブへの移転という合意案はあっても、地元の強い反対によって実際に建設に着手することはできていなかったことは認めなければならない。おそらく自民党政権が続いたとして、実際に杭を打つには警察力の助けが必要となったはずだし、沖縄県民の反内地、反米世論は大きく盛り上がり、これを沈静化させるために膨大な地元対策予算を割かねばならなくなったはずだ。

もちろん反民主の立場からすれば鳩山政権がこの問題で苦労しているのは小気味いい話ではあるかもしれない。

しかし、気になるのは徳之島のような県外移転先候補となった地元の大きな反対運動だ。徳之島には自民党の小池百合子元防衛大臣までかけつけて、基地はいらないと大声をはりあげている。ちょっとまってくれ、日本の国防のために海兵隊は必要ではなかったのか?沖縄県外に移転することを阻止するということは、沖縄県民にだけ過大な負担をかけている現状を肯定しようというのだろうか。

日米同盟を堅持するということは、基地も維持するということだ。なぜ自民党はここでいきなり反基地なのか。

中国の海軍艦船が公海とはいえ沖縄をかすめて通行し、すぐそばの東シナ海では中国がガス田を開発、地下資源の帰属をめぐって対立がある。中国に沖縄に対する領土的野心があると警告する国粋団体もある。その中で、沖縄を反基地や反米を経て反内地、脱日本へとかりたてるようなことをするのは果たして得策なのだろうか。

反民主勢力にしてみれば敵失と笑うことは痛快だし、それを面白おかしく新聞の記事にしたり、政局にからめる向きもあるだろう。しかし、日本に米軍基地があることの国防上の重要性を認めていながら、国防に支障が生じる反基地世論がはらむ大きな矛盾を目の前にして、何も言わないばかりかそれを焚きつけすらする"保守"とはいかなるものなのだろうか?

自民党政権でなければ日本はぶっ壊れたっていい、という考えはあまりにも浅すぎる。