いつものイングリッシュパブで、DJをやった。
今日は、あのコの誕生日だった。
だから今日掛ける曲は、愛することをテーマにしよう。
そう思ったけど、今ココに彼女はいない。
一緒にいようって言ってくれたのに、私は断ってしまった。
愛することをテーマにしていたのに、
掛けた曲は、Stereophonicsの“It Means Nothing”。
ケリーが歌うこの悲しい歌は、今まで掛けたどの愛の歌よりも
私の心に響いてしまう。
彼女とは、昨日会った。
誕生日には会えなかったけど、バースデーイブっていうのも
それもいいんじゃないか。そう自分に言い聞かせていた。
そして、誕生日に会えないのを忘れるくらい、楽しい時間を過ごそうって思った。
張り切って選んだレストランで食事をした後、店を出た。
私は「海が近いから、少し散歩をしよう」って言った。
もしそう言わなければ、すぐ近くにある駅に着いて
それで永遠におしまいになってしまう様な気がしたのだ。
彼女は、私の誘いに笑顔で頷いてくれた。
並木道を歩くと、銀杏の匂いが少しした。
どうしても、さっきお店で彼女から聞いた話が頭から離れなくて
言葉数が少なくなってしまったけど、
もうすぐ海に着く、そう思うと少し楽しい気持ちになった。
海は、いつもの海だったけど、
遠くに見えるビルや観覧車が明るかった。
彼女はそれを見て「きれいだね」と言った。
彼女の心から永遠に消えることはないであろうその出来事に対して
私は否定することも肯定することもできない。
ただ、前に向かって進もうなんていう
つまらない、ありきたりな言葉しか思いつかない。
だけど、私は乗り越えたい。
私にとって、この海には君の姿しか映らない。
君のいない世界に、何の意味があるのだろう。
白い世界が私を包み込んでしまう前に、君ともう一度会いたい。
And the sun sets in the sky
You're the apple of my eye
If the bomb goes off again
In my brain or on the train
I hope that I'm with you
'Cos I wouldn't know what to do
It means nothing
If I haven't got you
It Means Nothing / Stereophonics



