"それ"は突然訪れた。
 
 
 
ある日の夜、実家で晩メシをたらふく喰った帰り道。

4キロほどの道のりを気分良く歩いていたときのことだ。
 
 
 
不意に、鋭く襲いかかる腹痛。
 
一瞬の出来事だった。
 
 
 
反射的に僕の目は、コンビニを捉えていた。コンビニのトイレを。
 
「行かなくては...」
 
 
 
だが、時は残酷で僕にその猶予を与えてはくれない。
 
 
 
「うっ...ふうっ!」
 
 
 
その刹那、押し寄せる背徳感。
 
 
 
そこに差し込む、一筋の幸福感。
  
確かに僕は、紛れもなく幸福な時の流れを感じた。
 
 
 
しかしそれは、偽りの幸せ。
 
 
 
次の瞬間、絶望感が僕のすべてを呑み込む。
 
 
 
「うっ...くっ!」
 
 
 
一瞬の、ほんの一瞬の事象であった。
 
 
 
「くぉ、この俺が...こんなところで...」
 
 
 
その後の詳細を文字化するのは差し控えておこう。
 
 
 
ただ、僕は自尊心とお気に入りのパンツを失った。それだけだ。
 
 
 
 
 
それだけの話。
 
Panda Times vol.8