あいかわらず部屋は暑いですが、外は雨が降ってきました。
空はなんか晴れ間が出てるのに変な天気。
でも今年の夏は雨が異常に少ないみたいなんで、もっと降ればいいと思う。
ま、私は今外出できないんで好き勝手言ってるんですけどw
一日部屋にいる身分なのでなるべくクーラーつけないようにしてるんですが、
それも昼までが限界ですね。
めっちゃ暑い。汗流れる。。。
外仕事の人は大変だと改めて思う。
元々部屋の中での仕事なので。デスクワークではないけど。
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カランコロン
ドアに取り付けた小さな鐘が軽快に鳴る。
11時前、誰が来たかは容易に想像できる。
「くー!涼し!
外やばいですよ!溶けそう!」
それとは正反対に、聞くだけで暑苦しい声。
「わざわざ言わなくても知ってるっつの」
カウンターの中から一瞥もくれず答えた。
いや、わざわざ答えてあげるだけ俺は優しい。
「いやいや、遠野さんずっとここいるんでしょー
たまには思い出さないと」
にこにことそう言いながら奥のロッカーに荷物を入れに行く彼女。
高橋、ここのバイト。大学生。
「だって涼しくしないと客こねーだろー」
独り言をいいながら準備する。
店長(…というかもうオーナーか?)は節減節減言うが、なんたって今年の夏は暑い。
ちょっとくらい涼しくしとかなきゃ、入ったお客さんだってがっかりだ。
店長があまり来ないのをいいことに、結構自由にやってたりする。
「高橋ー寒すぎねぇかな?」
黒のパンツに白シャツ、腰につけるモスグリーンの短いエプロンというバイトルックになって出てきた高橋に問う。
「んー最初はいいんですけどね。
ちょっと風弱めにしたらいいかも?」
「おっけ」
壁についている機械に手を伸ばす。
どうやら男と女では体感温度が相当違うらしく、こうして高橋に確認をとったりする。
女の人はなかなか寒がりである。俺にはよく理解できない。
「だから彼女できないんですよ!」という高橋の声が聞こえてきそうだ。うるさい。
しかしそんな女性のためにと高橋の提案でひざ掛けを置いたところ、好評なのが悔しいところ。
まぁ、女性目線の声は貴重である。こうして役立っているのだ。
風をいちばん小さいものにして、自分のために淹れたコーヒーを一口。
「あー!また遠野さん飲んでる!ずるーい」
「うるせーこれ俺の特権」
いちバイト生に淹れてやるか、ともう一口。
これ自分で買った豆で淹れてるし。器具は使ってるけど。
不満そうな高橋。
終わったら淹れてやってもいい。とは今は言わない。
「そういえばふと思ったんですけどー」
高橋が尖らせた口を直しながら言った。
「あのいつもパンツスーツの髪長い女の人、最近来ませんねー」
その表現で俺もある人物にぴんときた。
「ああ、あの高橋とは正反対のかっこいい人ね」
ここにもありがたいことに常連さんがいるのだが、
その女性、ランチの時が主。あとは夕方にコーヒーを飲みに来たりする。
背が高くて、細身のスタイル。
背中の真ん中くらいの長さの暗めのブラウンの髪。それをいつもひとつにまとめている。
なんていうか、男の俺からしたらちょっと近寄りがたい雰囲気のかっこいい女性である。
「失礼ですね!どうせ私は小さいですよ!」
怒る高橋を上から見下ろす。つむじが見えそう。うーん、確かに。
「その人この前来たぞ。
…ってことはお前の時じゃなかったか、椎原がいたんだっけ」
「あ、そうなんですか」
椎原とはもう一人のバイト。
基本的にバイトは一人勤務なので高橋と椎原は会うことはほぼないが、二人は同じゼミらしい。
「なんかなー休みもらって地元に帰ってたらしい」
「えっ、喋ったんですか」
「まあ…俺も久しぶりだと思ったからさ、お久しぶりです、って」
いいなーと羨ましそうな高橋。どういうことだ、お前女だろ…
話しかけてみたら初めて間近で見た笑顔が綺麗なのはもちろん優しそうで、
仕事はバリバリするんだろうけど、それだけじゃないんだろうな、と思わされた。
「なんか今度人を連れてきますって言ってたな」
まさかそんなことまで言ってくれるとは思ってなかったので、その時は驚いて「えっ、あ、ありがとうございま、す」みたいな変な返事になってしまった。なんてことは高橋には言わない。言ったら、「遠野さん綺麗な人に弱いんだから!」ってなことになる。絶対。
「えーまじですかー!
彼氏ですかね?うわーうわー」
「お前ほんとそういう話題好きな…」
ため息交じりに高橋を見た。
「ま、彼氏でも誰でも、ここ気に入ってくれたなら嬉しいけどな」
「そうですねー遠野さんの見た目に反してコーヒーもケーキもサンドイッチもおいしいし」
そうだろう、と自慢げな顔をしようとしたところで、ん?見た目に反して?
「どういうことかなー高橋チャン」
「あっ、お客さん!」
カランコロン、という音とともに獲物に逃げられてしまった。
ランチタイムの少し忙しい時間を切り抜け、一息つく。
使い終わった皿とカップを片付けながら高橋が口を開く。
「遠野さん、次あの女の人が来て男の人が一緒だったら、ちゃんと聞いててくださいよ」
「なにを?」
「彼氏ですか?」
「んなこと聞けるか!」
突っ込みを入れながら、余ったサンドイッチを遅めの昼食でいただく。我ながらいい味。
「そんなこと直に聞いちゃうよりな、あれこれと想像するというか推理するのがおもしろんだよ、ここでは」
口の中身を飲み込んでそう答える。
「げっ、悪趣味ですね」
「るせー。てか女子はいつもそんなことしてるんだろ」
「…まぁ確かに」
心当たりがあるのか、高橋はしばし考えて頷いた。
あんまり知らないが、女子という生き物は何かにつけてきゃーきゃーと話が盛り上がっている。やっぱりそういう話題なんだな…
「ほら、サンドイッチ作るから。昼飯。さっきの余りの海老でいい?」
「えー!エビ!いいんですか!」
「余りだからちょっと少ないけどな」
やったーと上機嫌な高橋がガッツポーズをしかけたところ、玄関ドアを見てぴたりと動きを止めた。
「と、遠野さん、見て!」
「ん?お客?いいよ、俺一人で。お前奥で食べてくれば…」
「そうじゃなくて!」
腕をひっぱられて、作業の手を止めてドアを見る。
六つ程あるドアのガラスの小窓から見えるのは、女の人が日傘を畳んでいる姿。
背中まであるブラウンの髪の毛が、風に吹かれてなびく。
それを耳にかけながら、傘たてに日傘をさす。
白が基調の服装と相まって、暑いはずだが、なんとも涼しげに見える。
その隣には、背の高めのその女性よりも少し高い背丈の男性。
「あ、」
噂をすればなんとやら、か。
カランコロン、と店内に響く音。
俺と高橋は、自然と目を合わせた。
「いらっしゃいませ」
軽く会釈。
高橋はカウンターの外に出て、嬉しそうに迎えた。
「いつものお席でよろしいですか?」
あいつ昼飯いらないのかなぁと小さな背中を見ながら思う。
今なら海老じゃなくて玉子にしても文句言わないかもな。
あの男性は何を注文するだろうか。と考えるとちょっと楽しい気分になる。
とりあえずは、女性がいつも飲むコーヒーを淹れようと準備にかかった。
続く、かも
思ったより長くなってしまった;
喫茶店、実はあんまり行ったことない。
大手チェーンくらい。
田舎なもので。
いつかお洒落な喫茶店(カフェ?一緒か?)に入り浸ってみたいものです。