水族館や、海岸近くの施設でよくある問題は、塩害による腐食(サビ)です。

一般的には、ステンレス製にすれば安心と思われる人が多いのですが、そのステンレスでさえ完璧な素材ではありません。

特に空調に多用されるフィンとチューブで構成する熱交換器では、カシメ部分に必ず結露水が寝込んでしまうことから

ステンレスの最も弱点であるスキマ腐食が発生しやすくなります。

カチオン電着塗装なら完璧と思う人もいますが、実はあらゆる熱交換器に言えますが、ただの塗装被膜では

熱交換器の熱ひずみに追従する塗装とすることが難しく、特に空調用のフィンとチューブで構成される従来設計では

複雑な形状の各箇所にしっかりと塗膜が密着され続けていること自体が非常に難しい。

結果的に経年による低温、高温の繰り返し運転の中で、塗膜はたくさんの亀裂が入りスキマ腐食の誘発は免れない場合が多く発生します。空調用に限らずに、塗膜で何とか対策しようという液/液、液/ガス、ガス/ガス熱交換器設計は何かしらトラブルが発生している経験があるためにあまり良い結果となっていないのも悩ましい現実です。

今回は、水族館の塩害対策を特に考えた現場への導入依頼が入り、さらには昨今の電力消費量を抑えることが最優先課題でもあることから、空気を冷やす熱交換器はステンレス化させることで大幅な性能ダウン(アルミと比較して最適なフィンの表面積を確保しにくい)だけでなく、腐食リスクもあまり改善しない恐れがあることから、とても高価な熱交換器の割には、メリットが全然ないのではないかとの判断で、MDI製のオールアルミ超高効率熱交換器(塩害対策オプション付き)への置き換えにて決定されました。

アルミだから簡単に腐食するでしょ?とかステンレスなら安心とか思っている日本人が多いですが、ほんとに実験をしてから意見を言ってもらいたいくらい、ステンレスがあまり信用できなくなるくらい薄肉の腐食リスクは高いのです。

アルミは腐食します。でも熱交換器として壊れにくい設計思想がとても大切です。塩害腐食だけでなく、ボイラ煙突熱回収でさえ、MDIでは過去10年前からアルミ製品へ転換しています。腐食が絶対に許されない現場であれば、チタンやハステロイを使ってください。今ではおそら想像を絶する高価な熱交換器になりますが。

本件での冷水を作るチラーは、安易な空冷チラーで”自称高効率”ではなく、過酷な酷暑の40℃外気温度の日でもしっかりと冷却ができる水冷高効率スクリューチラーを導入し、さらには、冷水温度を極端な低温にしなくてもしっかりと冷える熱交換器又は、乾燥空気製造時(空気再加熱)にも蒸気や高温水などを必要としない38℃以下の温水でしっかりと加温ができる熱交換器とすることで、ボイラーなどを不要とした水冷チラーの排水を利用できることで、地球への排熱も少ない設計となっています。

単純に安い製品が良いという人は本システムは買わないほうがいいです。(運転時が短いとか小規模施設など)
塩害対策や電力消費を抑えたい人は、真剣に考えたほうがいいと思います。

2022年12月27日現在、電力、ガスの単価が上昇し続けています。今後もさらなる上昇は避けられません。

イニシャルコストばかりを追求しすぎて、下受けメーカーを叩きすぎてボロボロにする日本の建築業界で、少しはランニングコスト、CO2重視の設計思想へ転換しようとする現場があることが出てきたことは、おそらく良い方向に向かっているのかなとも思える瞬間もありました。(一部、まだまだ頭おかしい失礼な工事発注メンバーも多いと思いますが)