子供と遊ぶのにはとても体力がいると知った秋。
相手はたった2歳半の男の子。それでも運動会のあとのような疲労感に覆われている。
ある平日、高校時代からの友人と久しぶりに会い、
昼飯に居酒屋で豚の角煮定食を食べた。
オフィス街にしては珍しくその店は客が少なく静かで良い店だった。
ビルの2階だからあまり知られていないのかもしれない。
味はそこそこだったが、また来ようと思った。
近況報告もそこそこに、友人が「今度うちの子供と遊ばないか?」と提案した。
友人の子供にはまだ会ったことがないから丁度良い機会だなと思い、
数日後、私は小田急線の駅に降り立った。
昼時の駅前は非常に賑やかだった。
小さい子供連れの家族、買い物を楽しむ人々。縦横無尽に沢山の人が歩いている。
駅前のビルも立派だった。衣食住、娯楽、よく知る店が沢山あった。これなら暮らすのには全く不便しないな。
何の役にも立たないのに街の評論家気取りで目線をあちらこちらにやっていると、子供を抱えた友人が目の前に現れた。
こちらが「おう」と声を発するよりも前に子供が私の名前を呼んだ。
思わず笑ってしまった。
友人が今朝にでも覚えさせたのだろう。
まどろっこしくてまさに覚えたてという感じだった。上達を願った。
友人宅を目指して駅前の繁華街を並んで歩いた。
昔もこうして地元の繁華街を歩いたことを思い出した。
学生時代はカラオケへ行くとき。酒が飲めるようになってからは居酒屋へ行くとき。
何も背負っていない若者は楽しい場所を求めていつまでもふらふらと歩けた。
ふと横目でその姿を見た。
子供を抱きかかえたその姿は、頼もしく、一歩も二歩も先を歩いていた。
スシテンプラ