--- 檜山 乃武 『音楽家の名言2』 p. 58. ヤマハ (2011)
熱意、熱意、熱意。。。
一口に熱意といっても、あの技術をどうしてもモノにしたい!この曲を弾くのが楽しい(おもしろい)!あの人に勝ちたい!あの人に喜んでもらいたい!あの料理が食べたい!(^-^)、色んな種類の熱意がありますよね。十人十色です。
メンタルトレーニング理論では、それを動機(やる気)と言いますが、その項目に動機は大きく分けて二つあります。
内発的動機と外発的動機、です。
簡単に言えば、自分以外のことが少しでも入ればそれは外発的、それ以外は全て内発的になり得ます。
他人とか、報酬とか、罰とか、自分の外側から誘発されたやる気ならそれは外発的動機となり、逆に、自分外の事柄は関係なく自分の気持ちや心の底から湧き上がるやる気が内発的動機です。
敵がいるということが大前提のスポーツであっても、この内発的動機の方が選手の力を伸ばすことにつながるので重要だと考えられています。
敵のいない芸術活動のクラシック音楽は、もちろん内発的動機が大切で、それどころか、芸術活動そのものを支える生命と言っていいほど最重要項目です。
敵がいるスポーツでは、全くやる気がなかったとしても、敵がチームの外にも中にもいますから、その敵が死に物狂いで向かってきたら、その外発的誘因でやる気が引き出される可能性はあります。
しかし、芸術は、クラシック音楽はどうでしょうか。敵はいませんし、たった独りで「自分がしたいから」やっていて、辞めても世間はそれほど困ることはないことをやっているわけです。
自分の内発的動機こそが、芸術活動を続ける意味で肝心要なのです。
このチョン・ミョンフンの「個人的な熱意」はまさしく「内発的動機」なんですね。それが理由で努力したと。他人との競争が理由ではないと。
しかし、ここで重要なのは、どんなことでもそうだと思うのですが、必ず内発的動機が100%である必要はありません。
ピリッと効くスパイスのように、コンペティションで勝つためとか、他人の演奏に負けないため、というのもそれが自分の実力を伸ばすことにつながるのだったら、わざわざそれを消し去る必要もないのです。
ただ、市場原理のもと競争社会に日々生きていると「知らず知らずに」外発的動機ばかりに目が行き、肝心の内発的動機を見失いやすい環境にいることは確かですね。
音楽家の名言2 ~演奏への情熱を取り戻すメッセージ~/檜山 乃武

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