売れる仕組み10 子供専用フィットネスジム
こんにちはりゅうさんです。
最近子供にどんな遊びをさせたらいいか悩む親が増えているようです。
本日の日経MJにこんな記事が出ていました。
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日本同様、アメリカでも子供の肥満や運動不足が問題になっている。そこで最近、注目を集めているのが、サンフランシスコの郊外にある子供専門のスポーツジム「フィットワイズ4キッヅ」だ。
6才から14才までが対象。ジムの中には大人用を小型化したフィットネス器具が並ぶ。「最初は子供サイズのフィットネス用品を作っている企業を探すのに苦労した」が、今ではバーを使って筋肉を鍛えるフリーウエート、ジョギング用のトレードミル、足踏み用のステアマスター、トランポリンなど、9つの運動器具をそろえている。
ジムは保護者にも支持され、現在会員は250人になった。料金は子供1人の場合は1ヶ月50ドル。兄弟や姉妹が1人加わると75ドル、3人になると100ドルだ。子供らは10分ほどウオームアップをした後、インストラクターと一緒に45分のエクササイズを楽しむ。土曜日だけのプログラムもあり、4週間単位の料金は35ドルだ。
かつてアマチュアのボディービル・コンテストに出場したこともある経営者のワレン・ゲンダル氏は、「体を鍛えることは、子供の自信や誇りを培う」と事業拡大に意欲的だ。
FC(フランチャイズチェーン)でジムの数を増やし、ニュージャージー、サン・カルロス、ハリウッド、ニューヨークなどに6つのFC店を持っている。フランチャイズ費は約10万ドル。「数年以内に全米に100のFC店を開きたい」と話している。
2005/05/18, 日経流通新聞MJ, 20ページ。
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子供にスポーツを教えるビジネスは、野球、サッカー、水泳・・・・さまざまな種類があります。
スポーツにお金を払わなくても、「遊び」の中でスポーツを学ぶことができました。
ではなぜ「子供専用のスポーツジム」が今注目をあびているのでしょうか。
そのひとつの要因に親の世代が遊びを知らないことがあげられます。「スポーツジム」なら遊び(スポーツ)をよく知る専門家がいるので親にとっても安心です。また、一箇所でさまざまなトレーニングやスポーツが体験でき、ワンストップショッピングで育ってきた世代の親にとっては利便性が高いサービスです。
PS3などの次世代ゲーム機が次々と発表されています。これらは家庭にいながら、バーチャルな世界を体感したり、利便性を向上させたりする反面、これまで親が心配しなかったさまざまな弊害も生み出すでしょう。
将来足りなくなるのは何か?
「フィットワイズ4キッヅ」の事例は、あたりまえとなったこと(ITの普及など)の背景で皆が失いかけたもの(弊害)をビジネスによって代替しようという試みなのかもしれません。
いま爆発的に普及し、あたりまえとなってしまったことをちょっと振り返り、それによって失ったものを考えて見ましょう。新たな「儲ける仕組み」が見えてくるかもしれません。
売れる仕組み9 次世代DVD規格
こんにちはりゅうさんです。
次世代DVDの規格争いに決着がつきそうです。これにより「消費者の利便性が向上する」と報じていますが本当にそうなるのでしょうか?
本日の日経から抜粋し、私なりの見解を述べたいと思います。
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DVD(デジタル多用途ディスク)の次世代規格を巡って対立していたソニーと東芝は、互いに主張する自社陣営の方式を新たに共同開発する「第三規格」に統一する交渉に入った。
米ハリウッドの映画会社にも統一規格の採用を打診しており、早ければ月内の合意を目指す。次世代の映画ソフトや機器を普及させるには規格分裂の回避が不可欠と判断した。
世界の大手家電メーカーなどを二分した標準規格争いが決着すれば、消費者の利便性も増す。
2005/04/21, 日本経済新聞 朝刊, 1ページ。
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ソニーVS東芝の熾烈なにらみ合いは3年続きました。この間ソニーはブルーレイを発売し、東芝陣営も年内の映画ソフト発売を予定していました。
今回の決定で、これまで独自の戦略を展開してきた両陣営は、統一に向けてスタートラインに戻ることになるでしょう。失われた3年は、消費者にとってあまりにも大きい代償です。(この間にブルーレイを買った人たちも多いはずですから・・)
消費者の立場から言うと、安易な妥協規格はやめてもらいたいと思います。ブルーレイを支持している消費者は、記憶容量が多くハイビジョンなどの高画質な映画などどんどん保存したい!と考えています。一方HD DVDを指示している消費者は、なるべく低コストで既存のDVD録画機の後継機種を望んでいる!と考えています。
最悪なのは、安易な「妥協」をして、ここは譲るけどここは譲れないといった「交換」をメーカーサイドだけで決めてしまうことです。消費者は技術的な知識を持ち合わせていません。そのため、メーカーサイドだけでいかにも消費者にとって利便性が向上したという見せ掛けの合意に至る可能性が否定できないからです。
この点については、日米欧の競争政策当局の厳重な審査に期待します。競争制限につながらないことや、消費者利益をもたらすことを慎重に判断していただきたいと思います。
消費者を交え、最終的にソニー陣営、東芝陣営、最終消費者がWIN-WIN-WINの関係になるような、創造的な「第3規格」を望みます。
売れる仕組み8 回転すし
回転すしの注文が苦手な人って結構多いそうです。隣の人が食べているネタがおいしそうなのに聞くわけにいかない。カウンターの中にいるお兄ちゃんが近づいてくるタイミングを見計らって、「いまだ!」と声をかけようとすると向かいのおっちゃんが「エンガワ!1つ!」と割ってはいる。
そんな弱気なあなたに朗報!本日の日経MJにこんな記事が出ていました。
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【金沢】回転寿司(すし)コンベヤーメーカーの石野製作所(金沢市、石野晴紀社長)は、客席から押すだけで注文できるタッチパネルを組み込んだコンベヤーを開発した。
インターホン式に比べ注文の取り間違い、聞き漏らしが減り、大型店を効率的に運営ができる。
来店客が画像や値段を見て寿司を選ぶと調理場側で注文票がプリントアウトされる。プログラムはデジタルカメラ画像を使い、店側が簡単に変更できる。
客席と調理場が離れている大型店向けを想定している。特に、コンベヤーの上に取り付けたレーンを使って注文品を各客席へ直送する「オーダー品供給システム」は、タッチパネル一体型を標準品として提案する。
「注文を聞かれると恥ずかしい」といった女性客らの要望にも対応する。タッチパネルがない製品より価格は二、三割高くなるが、コスト削減や好みのタイミングで注文できることによる客単価アップの効果を売り物にする。グループの北日本カコー(金沢市)を通じて販売し、年三十―五十セットの受注をめざす。
2005/04/15, 日経流通新聞MJ, 19ページ。
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確かに女性客や、ちょっと注文が苦手な人には朗報です。
自分のペースで、好きなネタを、しかも写真を見ながら注文できるとあって客単価向上につながりそうです。
でもよくよく考えると、もはやこれってすし屋じゃないです。完全に自動販売機です(笑)
ネタがおなじなら、目の前でおじさんが「はいはまち!」と手渡してくれるほうがよっぽど美味いですよね。
導入をお考えの全国の回転寿司屋さん!顧客の真の欲求はどこにあるか、今一度自分のお店で導入する前に検討しましょう。
利便性だけに目を奪われていると、従来の固定客を失う羽目になりますから。
売れる仕組み7 デジタルシネマ
こんにちはりゅうさんです。
本日は「これからの映画館になにを期待する?」をテーマに、デジタルシネマについて考えてみたいと思います。昨日の日本経済新聞夕刊にこんな記事が出ていました。
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ソニーやウォルト・ディズニーなど米映画大手は、配給システムをフィルム方式からデジタル方式に転換するため、全米の映画館に最大三十億ドル(約三千二百億円)規模の低利融資などの資金援助を実施する見通しだ。
映画館側の初期投資を手助けし、配給コストを削減できる「デジタルシネマ」を普及させるのが狙い。画質の大幅な向上が見込めるほか、映画館でスポーツなどを生中継できるようになり、映画館の機能が大きく変わる可能性がある。
映画は通常、ソニーなどの制作配給会社が作品を専用フィルムに焼き増して、各映画館に配給している。これに対してデジタルシネマは、作品をデジタルデータに変換し、DVDや通信衛星、光ファイバーなどを使って配給する。
繰り返し上映しても画質が劣化せず、高解像度の映写機を使えばより高画質で迫力ある映像が楽しめる特長がある。インターネットに接続すれば映画館の大スクリーンでスポーツやコンサートの生中継も上映できる。
一部の米メディアなどによると、ソニーやディズニー、ワーナー・ブラザーズなど映画大手は現在、映画館がデジタルシネマ専用映写機を購入する際の融資の仕組みなど支援計画を詰めている。支援額は一スクリーンあたり約八万ドルになる見込みで総額は最大三十億ドル前後に達する見込みだ。
映画会社にとっては、高騰する作品の制作配給費用を削減する狙いがある。配給をデジタル化すれば、各社あわせて年間七億五千万ドルに及ぶ配給費用を半減できるとの試算がある。映画館にとっても入場者増につながるデジタル化は魅力。ただ映画館は小規模経営が大半で、多額の初期投資に難色を示してきた。
2005/04/04, 日本経済新聞 夕刊, 3ページ。
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この文面だけ見ると、「なーんだ。映画会社が得するだけ?」と思ってしまいます。高騰する作品の制作配給費用が削減されて、映画館には設備投資に対する借金だけが残り、我々映画館を利用するものは、何を得られるのでしょうか?
まず、利用者の利便性を最優先に考えてみるべきです。たしかに今後高解像度の恩恵を受けられる可能性がありますが、世界中でそれだけの人が映画の解像度に不満を持っているでしょうか?
記事では「映画館にとっても入場者増につながるデジタル化は魅力」とありますが、デジタル化=入場者増という論理は飛躍しすぎではないでしょうか?
デジタルだ!フィルムだ!と議論するまえに、劇場経営のビジョンをどう作り出すかが今後の大きな課題です。
日本の映画館に目を転じてみると、ここ数年のシネコン登場によって、やっとサービス業らしく、来場者のニーズに対応した木目細かなサービスが提供されてきました。しかし、まだまだ遅れています。
チケットはもぎり中心で、電話やネットでの予約制も少ないなど、サービス業としての課題も多いのではないでしょうか。
一方で、ビジネスチャンスのにおいもします。
それは、記事にもあるように、映画の上映にこだわらず、デジタルネットワーク伝送を使った新たなコンテンツビジネスを折り込むビジネスチャンスです。
その着眼点は、「ポップコーン収入」(劇場収入にとってポップコーンなどの販売が大きく貢献している)といった入場料収入以外の道をどう拓くかです。例えば、高い収益が見込まれているのが、アニメ作品などのキャラクター販売です。もう一つ、幕間から本編までの間に上映されるシネアド(劇場CM)です。
現在のような画質の悪い静止画中心のシネアドが、デジタル化によってミュージックビデオなどのプロモーションチャンスとして注目を集めてきています。こうしたデジタル・シネアドに、ポップコーン収入のような収益を期待できるのではないか。(そうすれば、我々の入場料も格安になる!)
また、経済産業省が映画館のない町で、デジタル機材の無償提供を行い、さまざまな作品を上映できる「出前上映会」のプロジェクトを始めています。これも日本的なデジタルシネマ・スタイルといえます。
まだ、演劇のライブ性を生かしたデジタルシアターは、「サッカー中継」などコミュニティースペースとしても活用できます。ロックバンドが全国一斉に生ライブを開く(デジタルによりその場にいるような臨場感で)こともできます。この点は、町の映画館にとっても、十分恩恵が受けられるでしょう。
みなさまは、今後の映画館に何を期待しますか?
売れる仕組み6 ベネフィットを考える
最近売れているおもしろい商品をご紹介します。本日の日経MJより
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米国生まれの幼児用おしゃぶり「ビリーボブティース」の売れ行きが好調です。このおしゃぶりは、野球用のボールや星条旗などの飾り付き。装着すると簡単に変わり、面白い表情を演出してくれます。価格は1869円で、2―3個まとめて買うお客も多いです。
野球ボールやスマイルマークなどはプレゼント用として売れてます。歯が突き出したようにみえるものや、豚の鼻などの「おもしろ系」は、若いお母さんがお子さま用に購入するのが多いですね。昨年の10月から販売していますが、平均で1週間に25―30個は売れます。
零歳から2歳くらいのお子様にお使いいただけます。大きさは横6センチ、縦4センチ。特に人気があるのは豚の鼻ですね。暗闇で光るブラックライト仕様のおしゃぶり(1890円)もあります。
店頭では子ども用のスープ皿やランチプレート、ほ乳瓶、絵本などと一緒に並べています。おしゃぶりとセットで、子ども用の雑貨を一通りそろえ、ギフトとして購入するケースも多いですね。
(ニュースタイル なんばパークス店長 冨武)
2005/03/25, 日経流通新聞MJ, 20ページ
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遊び心とはこういうことをいいうのでしょうか。商品を作った人たちは、おそらく、子供のようにはしゃぎながら「企画」を練ったのではないでしょうか。
街中でこんな赤ちゃん見つけたら「ぞっ」とします。でも「かわいい!」
ここでこの商品のマーケティングにおけるベネフィット(便益)を考えてみたいと思います。
例えば、母親が「がかわいい!」と自分の子供に注目してもらいたいと考えるベネフィットです。自分を目立たせるのは、抵抗があるし、変わった人と見られたくない。でも間接的に子供に注目してもらうことで、自分自身が注目されたいのかもしれません。そんなお母さんが購入しているのでは。
ギフトをしたい人たちのベネフィットは、「ありきたりの商品を送るより、安くて印象に残ってもらえる」というものが考えられます。もっと深く言えば、俺はこんなおもしろい商品を知っている→情報収集力がある→トレンドに敏感な人だと思われたい、等が考えられます。
皆さんはどう考えますか?
ただの「おしゃぶり」ですが、色々な便益を考えると新たな商品アイデアが浮かんできます。
大人の消費行動に巻き込まれている赤ちゃんには気の毒ですが・・・
<リンク=「ビリーボブティース」
売れる仕組み5 クロスオーバー消費
今日はターゲティングについてのお話です。
突然ですが「クロスオーバー消費」という言葉をご存知ですか?本日の日経MJにこんな記事が出ていました。
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男性・女性
ハーレーの淑女急増
性別、世代が交錯した「クロスオーバー消費」が新たな需要を生みだしている。日経MJが実施した調査では、男性的な商品を女性が使い、若者向けサービスを利用する中高年が増えるなど、クロス消費の傾向が進んでいることが明らかになった。価値観の多様化で、消費の尺度が社会常識から自己満足に大きくシフトしているためだ。企業は潜在クロス需要を的確につかむ必要がある。
2005/03/16, 日経流通新聞MJ, 1ページ。
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「クロスオーバー消費」とはこれまでターゲットとされていなかった顧客層がメーカーなどの予想に反して、消費を行っている現象です。
記事の冒頭にもあるように、ハーレーの女性購入数は1996年の14倍にも上るそうです。これまで男性の乗り物と思われていた「ハーレーダビットソン」を女性、(しかも若い)が乗り回しているという事実は、この「クロスオーバー消費」の1ケースにあたります。
また、家電量販店も今や「性別クロス消費」の主戦場となっているようです。脱毛・除毛器など理美容家電売り場に男性客が目立ち、現在の購入者数は前年から倍増しているとのことです。また、MJ調査でも男性の27.1%が「高機能な白物家電を利用しています。これは男性の3人に1人が「週に一度以上は料理をする」という背景からもうなずけます。
一方、男性の独壇場だったデジタル家電売り場には女性客が増加しています。MJ調査でも「液晶・プラズマテレビを持っている」のは女性10.0%、男性11.4%で拮抗(驚きですねー)
そのほかのケースを見て見ましょう!!
■晩酌はお父さんの特権?×
女性も晩酌する時代(女性は28.6%)→ビールのCMも女性の好感度が問われる→キャンペーンガールを昨年で廃止(サントリー)
■子供服はもちろん子供が買う?(ベネトン)×
掘り出し物を見つけたい、他人と“かぶりにくいから”、ニットで6千円程度と大人用より2割程安い→20代から40代の女性にばか売れ
■高級アイスクリームは若い女性が買う?×
高級アイスクリームの50代主婦のいる世帯の年間購入金額は30歳未満の約7倍(うーんこれまた驚き)
■コーラは若者が飲む!×
あるコンビニエンスストアでは、コカ・コーラの購入者の半数以上は40から50代。20から30代の利用が多いコンビニでは極端な数字!
昨年6月発売のコーラの大型新商品は、若者を狙った広告宣伝が、コーラの客層とかけ離れていたためコンビニ販路の確保に苦戦した。目新しさが一巡すると売れ行きが低迷し店からの発注が無くなった。
■盆栽はおじいさんがするもの!×
MJ調査では「盆栽が好き」という18~29歳は2.3%で30~40代を上回り、50代(3.4%)に迫る。雑貨店ではインテリアとして植物の小鉢の人気は高い。観葉植物から徐々に盆栽の世界にはまっていく若者・・・。
ライフスタイルの変化、消費の多様化は皆さんよく聞く言葉ですね。しかし、まだまだ頭が固くなってませんか?年齢や性別、価値観など様々な固定観念に惑わされず、おもしろい発想で「ターゲティング」を考え直してみましょう。
それにしても「女性」「50代」といった言葉がキーワードですかねー?
「冬ソナ」も「マツケンサンバ」もおばちゃんたちが生み出したもんなー・・
この本がおすすめです↓
著者: 井徳 正吾
タイトル: 見えない若者市場より見えている団塊市場を狙え!―発想を切り換えればおもしろいほど売れる
売れる仕組み4 計画 OR 行動?
「便利」「ついで」「出発前のお客さん」こんなイメージを思いついた方は、普通の方です。しかし、決して恥じる必要はありません。これがふつうなのですから。
一方、「おしゃれ」「センスがいい」「デートスポット」こんなイメージを思いついた方は、一歩進んだマーケッター的センスのある方です。
本日の日経MJにこんな記事が出てました。
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駅ビルの飲食店や小売店は便利ではあるが、利用するのは一般的に、駅を使うついでだ。そのため顧客の滞在時間は意外に短く、客単価も低くなる傾向にある。
それを解決しようと、海外の有名飲食店をテナントに招くなどして、少しでも顧客の利用時間を延ばす試みが、品川駅ビル「アトレ品川」の再開発で進んでいる。実はこの先駆けとなったのが、上野駅の「アトレ上野」だ。
上野には東京都美術館、国立西洋美術館など文化施設が多いが、その余韻を楽しみながら帰路に食事をしようと思っても、これまでそうした店が少なかった。ましてや上野駅ともなれば、ゆったりと食事ができる店など誰も想起できない場所だった。それを覆したのが、改札口にも近いレトロ館にあるブラッスリー・レカンだろう。
銀座レカンが手軽にフランス料理を楽しめるブラッスリーとして、三年前にオープンさせた店だ。
一九三二年(昭和七年)に造られた上野駅貴賓室だった所を、当時の趣を生かしてリニューアルしたアールデコ様式の空間で、上野駅の中にいることを忘れさせる。また手ごろな料金体系でありながら、フロアスタッフの接客は上質で心地よい。ワインに前菜をつまんで談笑するといった使い方も可能で、この場所を知らない人なら感激してしまう大人の隠れ家的存在になっている。
利便性だけを重視し、無機質で味気ない駅の時代が長く続いた。だがここ上野駅のように、新しい街の魅力作りに古くからある資源を生かし、電車に乗るのではなく、お店を利用するために出掛ける価値を生み出す視点は、地方都市の再生にも応用できる。
2005/03/09, 日経流通新聞MJ, 3ページ
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従来のイメージを180度かえて、ビジネスに結びつけた例は沢山あります。
そこには「誰も思いつかない」→「画期的な試み」というパターンもあれば、「誰かが思いついてはいるが、実行してない」→「画期的な試み」というパターンもあります。
圧倒的に多いのは後者のほうです。「発想の豊かな人」や、「アイデアマン」といわれる人は、同時に行動力のある人です。行動としてアイデアを具現化させたから、アイデアマンになれたのです。
記事の最後に「お店を利用するために出掛ける価値を生み出す視点は、地方都市の再生にも応用できる」とあります。しかし、地方都市における駅ビルのテナント誘致問題等、皆さん同様の視点は既にお持ちになられています。
むしろ、それを具体的に実行できる、リーダーシップのある地域実力者や指導者、若手企業家たちの行動力が大切でなのです。
「アイデアを思いついたら他にも同じようなことを考えているやつが5万といる」そう思うだけで、机に向かって計画を立てていることが不安になってきますよね。
「ねらえ、撃て」ではなく「撃て、ねらえ」の発想です。
事例では、「ブラッスリー・レカン」が最初に「撃った」行動者(アイデアマン)となったのです。
売れる仕組み3 「しまむら」は単品管理の鬼だった
本日の日経MJにこんな記事が出ていました。
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シーズンを過ぎた衣料品の値引き販売をよく見かけるが、商品全体の値下げ率が一〇%を超える企業は少なくない。しまむらは二〇〇四年八月中間期、これを五・四%に抑えた。本社にいる約五十人のコントローラーが約十万点の単品の販売動向を把握し、売れる店に商品を集中するなど機動的に調整しているためだ。なるべく値引きせずに商品を売り切る仕組みは、業界でも抜きんでた精度を保つ。
例えば、東北地方が記録的な冷夏に見舞われた〇三年。大型トラックに夏物衣料を積み込んで九州地区の店舗にピストン輸送し、被害を最小限に食い止めた。今秋冬商戦もきめ細かな商品移動などで、主力業態「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は昨年三月から今年一月までの累計で一%増を確保している。
値下げ品は原則、福袋に入れる商品くらいにとどめているというメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)のような企業もあるが、しまむらほどは取扱品目数が多くない。消費者の変化に対応しながら単品管理の精度を磨き、完全買い取りを貫く――。売り上げと利益を稼ぐ原動力だ。
2005/02/23, 日経流通新聞MJ, 6ページ
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安売り衣料量販店のイメージが強く、あれだけの品揃えがあることからさぞかし、シーズン間で買い叩きが行われているものだと思っていました。
商品の移動を絶えず行うには、全国に数多くある店舗の存在が不可欠です。まさに「規模の経済」の恩恵を受けているといえます。しかし、どんなに多店舗化を推し進めても、それを活用しようとするスタッフの地道な努力がなければ宝の持ち腐れです。
「○○店で売れそうだから、××店の分を送っとけ」「いや今度はこの商品がやばそうだから、今のうちに▲▲店で売ってしまおう」こんな会話が50人のスタッフで行われてるとすれば、まさにニュースで見かける証券取引所の状態でしょう。
ただ単にコスト削減を狙った多店舗化とは違い、息を抜かないスタッフの緻密な活動が「しまむら」を支えているのです。
売れる仕組み2 セブンイレブンの弁当が美味しい理由
今日の日経MJにこんな記事が掲載されていました。
--------------------記事抜粋---------------------------
SPA(製造小売業)のビジネスモデルを進化させる動きは様々な企業で広がっている。
ファーストリテイリング(店名ユニクロ)やセブン―イレブン・ジャパンも直接製造部門を持たないまでも、商品企画以上の業務に踏み込んでいる。ユニクロは日本の縫製、染色などのメーカー出身者をスカウトし、中国の生産委託工場に毎日のように社員を派遣して生産管理や品質管理の水準を高めている。
最近は中国で紡績した高品質の糸を使ったシルク一〇〇%の婦人セーター、カーディガンを販売するなど、価格引き下げより品質向上に力を入れている。
セブンイレブンでは国内だけでなく海外の産地まで訪ねて、弁当・総菜工場が仕入れる米やノリ、野菜までを集中発注する。スープの味付けやご飯の炊き方までメーカーと一緒になって研究するなど、商品開発でも本部が直接関与、食品部門だけでつねに二百のテーマを抱えているという。
ヤマダ電機は低価格パソコンの需要増加に対応し昨年、パソコンメーカーを傘下に収め、PB(独自企画)パソコンの販売をふやしている。それは家電量販店との水平的な競争だけでなく家電メーカーとの垂直的な競争を促す。
生活関連用品のメーカーベンダー、アイリスオーヤマ(仙台市)もソファなどの家具小売業に進出した。独立路面店のほかホームセンターやスーパー内に今後三年間で三百店を展開する計画だ。
2005/02/21, 日経流通新聞MJ, 3ページから抜粋
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何れのケースも垂直統合を行うことで自社製品の高付加価値化を狙ったものです。単なるコストダウンやプロダクトアウト(いいものは売れると言う考え方)的な発想ではないということです。
垂直統合はリスクが高いので、水平展開で収益源を確保しようという動きもあります。いわゆるシナジー効果(相乗効果)を狙った多角化です。しかし、ここにきて対照的な垂直統合が拡大していっている背景は何なのでしょう。
店舗過剰のもと、ライバルとの格差をつける最大の原動力は商品力にあるからです。製造部門を専門メーカーにまかせるのは効率的ですが、完全な丸投げは自社の経営資源の劣化と退歩を招きます。
売り場をアパレルメーカーに委ねて“場所貸し業”と化した百貨店の体力低下はその好例だと同紙も指摘しています。
例えば、ある魚屋さんAは、粗利を稼ぐために共同仕入を通じて仕入原価を抑えることに注力しているとしましょう。目先の利益は出るかもしれませんが、しばらくすれば他の魚屋さんと比較して商品の独自性がなくなるのは目に見えています。
一方魚屋さんBは、市場だけでなく漁師さんと一緒に漁に出かけ、魚の目利きを向上させたり、また、レストランや料理教室に通うことで、お客さんの食に対する嗜好を研究しているとしましょう。仕事量は増えますが確実に品揃えや面で優位にたてるでしょう。
魚屋さんAがBのやり方の重要性に気づいたとき、模倣しようとしてもBがやってきた活動と同じ、もしくはそれ以上の時間をかけなければ追いつくことはできません。しかもBさんが継続的にそういった活動を続けている限り、追いつくことは至難の業です。その間に魚屋さんAの体力は尽きてしまいます。
他のコンビニ弁当がいつまでたっても「セブンイレブンの味」に追いつけないのは(私の主観的味覚ですが)、こういった地道な「見えざる資産」の蓄積にあるのではないでしょうか。
売れる仕組み!ルームシェアーのケースを考える
近年首都圏を中心にこのルームシェアが急増しているそうです。本日の日経MJにこんな記事が出ていました。
----------------------以下記事抜粋---------------------
借り手のいない中古アパートや社員寮を借り上げ、若者・外国人向け共同住宅に改装、運営するオークハウス(東京・板橋)。リビングやシャワールーム、時には寝室も共用する暮らしぶりは、旧制高校の寮か昔の長屋を思わせる。
食堂だった場所は共同のリビング兼サロンになった。折しもテレビではサッカーの国際試合を放映中。「やったー」「おーっ」。ビール片手に盛り上がる住人たち。日本人以外に米、仏、中、韓、イタリアなどの国から入居者が集まっているだけあり、外国の安宿にいるような気分だ。中古品を集めたまちまちのデザインのテーブルとイスが、今どきのカフェ風。住民の多種多様さとも合っている。ハウス内の張り紙も原則的に英語か、日英併記だ。
現在東京都内の山手線沿線を中心に四十三カ所。古いアパートや民家、寮などを借り上げ、改装し、部屋ごと、またはベッドごとにまた貸しする形をとる。今年だけで十五軒を新規開業する予定。同社のホームページで告知すると、入居者がどんどん決まってしまう人気ぶりだ。
2005/02/18, 日経流通新聞MJ, 18ページから抜粋
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ここに一つのビジネスモデルが見えてきます。
借り手のいない不動産を抱えた企業や個人家主はオークハウスという借り手がつきます。
しかも「単なる古アパート」として入居者を募集するより、高い家賃を確保できるメリットもあります。
一方、派遣労働など労働力の流動性が高まった今の日本では、敷金礼金不要で家具の用意が不要な賃貸住宅の需要は強まる一方だし、総合的に見れば安く部屋を確保できます。
雰囲気が合わない、環境が気に入らないといった場合は別の物件に気軽に移れるのも魅力があります。
でも、本当にそれだけが人気の源なのでしょうか?
社長の山中氏は、「会社でも学校でも地域でも最近コミュニティー不足が話題に取り上げられる中、新しい形のコミュニティーを求める日本の若者のニーズを満たしている意味も大きい」と主張しておられます。
ひとり暮らしより安全で、独りになりたい時にはなれる
いろんな職業や国の人と一緒にいるのは楽しい
ルームシェアに住んでいるというだけでかっこいい
この会社の成長の背景には、遊休不動産の単なる有効活用以上に、ユーザーである「若者たち」のニーズを的確にとらえた、売れる仕組みが見えかくれしています。
ケース対象企業:「オークハウス」のホームページ




