前回の続きです。
1、扉は片開きが好ましい
2、前照灯は1灯
が日野原イズムの象徴です。現在は800形が日野原イズムの真骨頂で、大手私鉄では最後まで片開き扉と前照灯1灯方式を守りゆきました。
この片開き扉は2代目700形の制作にあたり、もう通勤型では一般であった両開きを採用しませんでした。これは横浜駅にて8mmフィルムカメラで国鉄の1m30cmの両開きのドアと自社の1m20cmの片開きのドアを撮影し、分析した結果両開きのほうが開き終わるまで1人多く乗車可能ということで、たった一人であるならば、100万円も安くて、整備もしやすく、なんせ18m車であるから外から見て美しく見える片開きの方が有利だとしました。
ただし1m50cmにするんだったら、片開きは重量も重くなり、開閉の時間も遅くなるので両開きがいい。しかし、結論的にはドアを増やしたほうが有利であることで700形は18m級としては珍しい4ドアになりました。
これだったら「なんだ、だったら今の車両も片開きでいいじゃん!」と思うかもしれませんが、片開きは欠点だらけです。
1つ目は片開きだとドアの開閉速度を速めなくてはいけません。しかし開閉速度を速めるとギロチンみたいに危険であること。
2つ目は先述した開き終わるまで1人多く乗車可能ということ。これは1つの扉であって、700形の12両の場合は48人もの差が生じることになってしまうこと。
3つ目は整列乗車を乱してしまうこと。両開きならば、真ん中の人から順に出入りできますが、片開きですと左右どちらかが早く開くので、たとえば右から開く場合は右のひとが有利ですよね。
このように欠点もありましたので日野原氏の退任後は両開きの2000形が登場しました。
しかし日野原保の存在は忘れてはいけません。近年は日野原氏と親交の深かった京急ファンの重鎮、吉村光夫さんが逝去されて日野原氏のこと知る人物が年々減りつつあります。日野原氏は現在の京急の車両の基礎をつくられた方です。窓が大きくて、高速で走る京急。これも日野原氏の存在が大きいのでしょうか?
どうか日野原保という名前だけでも覚えていってください。