12



バトンの受け渡しは無事成功。


20メートルラインの所でたくさんの「がんばれーっ」が聴こえる。


あと80メートルっキラキラ*


私の前を走ってるE組の子とは20メートルは離れてる。


私はそんなに足が速くないから


抜かす事も出来ない。


ただ、私の役目はこれ以上距離を引き伸ばさない。


私は1番コースに構えている、C組男子最強の人にバトンバトンを渡した。






「マユ、お疲れ様っWハート


ミホは私を笑顔で迎えた。本気で走って疲れたので、苦笑する。


突然ミホが叫んだ。


「見てみてーっ!木上(C組男子最強の人)が今、E組と並んでるっ!」


ミホが指差す方向にはなんとあんなに離れていたC組とE組の距離が今はまったく無いではないか。


「すっごーーいっ!ガンバレーーーー」


希望の光が見えてきた。




「今34番かー・・」


「祐れ」


マユとミホが励ましてくる。


私は緊張をかき消すかの様に靴で土を掘っている。


――もうすぐクラスリレーは終わりを告げ様としている。


私は、36番目。つまりアンカー。


アンカーの番が近づいて来る度に私の鼓動は早くなる。


「あっ35番のBが走り始めたっ!祐美位置についてっ!」


「頑張れっ祐美!」


「祐美、E組抜かせ!」


「祐美なら平気だっ!」


たくさんの応援の声がかかってくる。


「ありがとう・・頑張る!!」


未だにC組とE組は並んでるまま。


わずかにC組が後にいるが。


此処で私が和華菜を抜かさないとC組は勝てない。


皆はきっと私が2位でも許してくれるだろうが


此処まで一生懸命皆でやって来た日々。


無駄にしたくない。


私の隣に和華菜が並ぶ。


ついに決着の時。


ポン。


私にバトンが渡った。


目指すは100メートル先のゴールのみ。


「祐美がんばれええええええええええええ!」


マユの声援がホール中に響いた。










ツヅク









11


「ミホぉおおおお頑張れぇええええええええ!


トップバッターのミホはトップを独占。


E組のトップバッターは大して足が速くなかった。


で、バトンパス。


C組の男子がググッと他のクラスとの距離を長くする。


「すごーぃ!C組トップ独占じゃんッ音譜E組なんてちょろわぁ~いわぁ~いぃ!!」


祐美がそう言ったその時――


バンッ


C組3番手の子が転んだ。足からは血が一筋――


ここで2位のE組、3位のA組とどんどんE組を抜かす。


私たちは彼女を励ますように応援した。


「頑張れーーーぇーー!」


転んだ子は精一杯走りきった。


でもまだ3位。平気――


と思ってたら、C組で1番が足が遅い○○さんが登場。


「うー・・やばい、B組に抜かされたっあせ


これでC組は4位になってしまった。


「・・ごめんね、ひっく・・私のせいで・・・」


さっき転んだ子が治療もせず、此方にやって来て泣きながら謝ってきた。


「・・ううん、そんなことない!まだ負けてないし!これからきっと皆が他のクラスに追いついてくれるよっ、ねっ!元気だしてにこ


「祐美・・・・ありがとう」


私より背が低い祐美だが、なんか随分大人びえて見えた。


そんな祐美の思いが通じたのか10番手の今依サンが物凄い勢いでA組・B組を抜かし、2位に躍り出た。


「わーーーーすごい!!今依サン!こんなに足はやかったんだぁ!!」


「今依サン・・もしや陸上部・・?


「んなこと言ってる場合じゃなぃでしょっ!もうすぐマユの番だよっ」


「あ・・いけなぃっ!」


今依サンが無事走りきり、バトンが男子の手に渡った。


私は準備に入る。


あと少しでC組男子が走りきる前にE組にバトンパスが渡った。


絶対ぬかしてやるっ


男子が10メートル、


5メートルと近づいてくる。


私は右手を差し出す。


あと1メートル。




「摸等ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」




ツヅク







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「足いったぁー」


全員が2回程走ったところで皆ホールにべちゃと寝っ転がる昼寝


只今、19:13。


リレー開始まで17分。


まだ5クラス中C組しかホールに来てない。


「他のクラスさぁー随分余裕だね」


私はキョロキョロとあたりを見渡しながら言う。あー腰いてぇ


「ね。でもまぁそれで遅かったら面白いけどね音譜


くすくすと笑うミホ。トップバッターなのに緊張がまるで無い。


中盤で走る私さえ結構緊張してるのに……


そんな風に寛いでいた時に、A組・B組がホールへ来た。


「あ、C組もう来てるじゃん!」


「練習してるの!?わー、すご」


「絶対まけるしぃ!!」


弱気を随分とはいてんなぁ。やる前から負ける気か?


一段とホール内が騒がしくなった時――


ガタッ


「あーーーーーーーーらんッ、皆さん負ける気満々のご様子で」


「……和華菜ッ」


ドア前に立つ、満面の笑みを浮かべた髪が短い少女。


牛とはちょっと違う、いやーーーな笑み。


少女の後ろにはずらりとE組の人達が。この人は女王か?


…えっと……確か陸部でE組で、祐美の天敵――


「まぁ、勝つのはE組ですけれど、オッホッホホッホねぶた扇子

強敵のはずのC組も弱そうですわね。

トップバッターが合唱部で、アンカーが祐美?

可笑しすぎるわーー!


「何よそれ?C組が負けるとでも?」


「祐美、あなたこの和華菜様に一度でも100メートル走のタイム、私に勝った事があって?」


「……」


「ほらね。

こんな人と張り合っても無駄だわ。さぁ、E組の皆さん位置につきましょうか」


ぞろぞろと和華菜率いるE組は位置へ着く。


私はそっと祐美の傍へ行き


「大丈夫?」


と声を掛けた。祐美は悔しそうに


「絶対、勝ってみせる……C組負けないぞぉっ!」


と。







「ぇーこれよりリレー大会を行います。各クラス位置についてー」


先生の声が響く。私は12番目の位置につく。


祐美はC組の最後尾につく。その隣の隣にはE組のアンカー、和華菜。


スタートの音を鳴らすピストルを持った先生の前ではミホが1コースに居る。


ミホ・・頑張って・・!


「用意はいいですか?」


「は!」


「位置についてーーーー」


先生がピストルを上げる。


「よーーーーいスタート!!」


気持ちのいいピストル音がホールに高らかに響いた。












ツヅク