めもり*ブログ

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ライター・きたのまゆみのブログです。
気になることや人、日々のできごとなど書いています。
おつきあいください。

もう随分前のことになるが、ノンフィクション界の重鎮である沢木耕太郎氏と後藤正治氏が某有名スポーツ誌で対談し、「インタビュー記事は、取材対象者へのラブレターのようなもの」という共通認識について語り合っていた。

 

この感覚は私も持っていたので「自分だけじゃないんだ。こんな筆力も人気もある大御所も同じ感覚なんだ」と知ることは、当時まだ駆け出しだった私にとって嬉しくもあり、自信につながるものだった。

 

 

インタビューが決まると、本人と会う前に取材対象者について調べられる限りのことを調べる。作家さんなら著作を読み、ミュージシャンなら楽曲を聴いて、スポーツ選手なら戦績をたどったり試合の映像を見たりして準備をする。その準備が十分にできていないと、聞くべきことが聞けないまま薄っぺらいインタビューで終わってしまい、つまらない記事になってしまう可能性が高いし、何より相手に失礼だから。

少しでも多く相手のことを知ろうとすることや、いろんなエピソードを知ったり、逆に相手に対する疑問(聞きたいこと)が浮かんできたりすることで、どんどんその人のことが好きになっていくし、実際に会って話を聞いたらもっと好きになる。そうなると、「この人の魅力を1人でも多くの読者に伝えたい」「たくさんの読者にこの人を好きになってもらいたい」と思って記事を書くし、そういう記事を書くことで、取材対象者にも自分のあふれる愛(笑)を知ってほしいと思う。まさに、ラブレターだ。

 

それは、取材対象者が男性でも女性でも変わらない。

作家ではなく職業ライターである私は、インタビューだけでなく、タウン情報誌のお店紹介やイベント紹介、就職情報誌の会社紹介などいろいろな原稿を書くわけだけど、ラブレター的感覚は、常にある気がする。取材に協力してくれた方に少しでも多くのメリットがもたらされるように、またその方に記事内容を気に入ってもらえるように全力を尽くす。

 

Image by StockSnap from Pixabay

 

 

 

今日は、先日取材させていただいた地元スポーツチームの選手のインタビュー原稿を仕上げて、編集部に送った。

すると、すぐに編集部から「深みのあるお話で、読み耽ってしまいました」と返信があった。取材対象者の人生や語ってくれたお話に深みがあるだけで私の手柄ではないのだが、ラブレター作成者としては「わかってもらえましたか!!」と嬉しくなるコメントだ。

 

編集部のOKが出たので、あとはご本人と所属チームのチェックを受けて、掲載となる。ご本人にも納得、満足してもらえるといいなぁ。

ちょっとドキドキ。