「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」@アーティゾン美術館
都内の美術館に行きたいなと思い、展覧会をチェックして決めたアーティゾン美術館。前身はブリジストン美術館で、名称変更して2020年にオープンした美術館のようです。京橋という都会に立地し、新しくてシックな内装でめちゃくちゃ気に入りました。ここなら家からも会社からも近く、美術館に行きたくなったらいつでも行けそうです。実際作品を見なくても、建物の中にいるだけで、心落ち着きそうな美術館です。今回、展覧会は「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」と「石橋財団コレクション・ハイライト」の2つ同時開催で、正直アボリジナル・アートはHPの写真を見てもイマイチ惹かれず期待していなかったのですが、実際の作品を見るとそれはもうこのような作品を作るにはどれだけのパワーがあるのかと、惹きつけられ見てよかったなーと心の底から満足でした。アボリジナル・アートというのは、オーストラリア先住民族の伝統的なアートスタイルです。アボリジナル・アートが興隆した1970年代から80年代は、女性は作家として認められず、男性が制作の中心だったようです。アーティゾン美術館の今回の展覧会では、アボリジナル女性作家に焦点を絞り、いかにして女性たちが、その立場を逆転し、後のアボリジナル・アートそしてオーストラリア現代美術の方向性を握るようになったかを読み解いていく展覧会のようです。私が特に印象に残ったのはエミリー・カーマ・イングワリィ(1910年頃-1996)の作品です。彼女は78歳頃にカンヴァスによる絵画制作を始め、1996年に亡くなるまでの8年間で3,000点以上の絵画作品を制作しており、年齢もさることながら、ひとつひとつの作品に籠るそのパワーに圧倒されるのでした。そのほか私が惹かれた作品。タイトル「ワイルド・オレンジのドリーミング」※写真の撮り方が本当にヘタですみません。。線は黒くその上に白・黒・エンジ・緑・水色のドットが描かれている。黒い線があるけれどエスニック調にもみえ、華やかさや明るさを感じる。タイトル「アライチーのドリーミング」※アライチー(ヤムイモ)黒字に白の線。何かの規則性があるかは不明。白の線がヤムイモを表しているのか?部屋の中でこの黒字に白のコントラストははっきりしていて妙に惹きつけられた。タイトル「夏の乾燥した野花」暖色のドットのみで描かれている。暖色のなかに薄いグリーンや水色のドットもある。これだけの大きなキャンバスによくこれだけのドットを描けるなと感心する。野花と言われれば野花にも見える。私が撮ったこの写真ではパワーは伝わってこないと思うので、、、ご興味を持ったら是非実物を鑑賞ください。それから、この展覧会のチラシやHPの表紙を飾っている作品のタイトル「えぐられた大地」。最初にHP上でこのガラスの物体をみたときは枝豆とか何かの野菜を表現しているのかなと思っていました。実際に会場の説明を読むと、これはえぐられた大地を表しているという解説でした。よくみるとガラスの一部がえぐられている。作者のイワニ・ケースの生まれた南オーストラリア州は、世界最大のウラン鉱床を有するオーストラリアでも特に採掘が活発な地域で、穴が空いたり、ひび割れたりしたガラスは、削られていく故郷の大地や、採掘によって引き起こされる環境問題、健康被害を訴えかけているという解説でした。こんな表現の仕方があるのかと少しショックでした。また、彼女の故郷は冷戦期にイギリスによる核実験の場として利用され、周辺住民のアボリジナルの人々に甚大な健康被害を与えたとのこと。その核兵器の名をタイトルにした「ガラス爆弾(ブルダーニューブ)」はガラスの中に黒い爆弾がたくさん入っており、これもまたきれいなガラスの中にくろい爆弾がはいっていて、恐ろしさを感じる表現で、ここにも作家の核に対する強い抗議の意を重くに感じました。6階、5階の2つのフロアをゆっくりみて、5階のフロアには「VIEW DECK」なるスペースが!展覧会からから少し出て、ビルのガラス窓から景色をみて休憩できるスペースがありました。こんな素敵な空間があるなんて、作品を見なくても、ここでまったりするもしくはPC持ってきて仕事するにもいいスペースだなと心浮きたちました。椅子には電源もついていました。彼女たちのアボリジナル・アートを見たあとは、石橋財団ハイライト・コレクションの4階フロアへ。石橋財団が所有する、言わずと知れた芸術作家、ピカソ、モネ、マティスなどハイライト・コレクションという名にふさわしい様々な作品が展示されていました。正直、アボリジナル・アートの鑑賞で充分に満たされ、このコレクションを鑑賞する気力・体力が残っていませんでした。来る前はこのハイライト・コレクションの鑑賞を楽しみにしていたのですが、想像以上にアボリジナル・アートに感動し、近いしまた来ればいいと思い、気に入った絵だけしばしの時間眺めていました。写真撮影全て可で、写真を撮ると綺麗にとることに力を入れてしまい、自分の目でよく見るということが疎かになってしまうなと感じました。写真撮影はほどほどにして、せっかく来ているのだから実物を見る時間を大切にしたいと思います。出口にはInformationエリアなるスペースが。ここにはアーティゾン美術館が開催した展示会に関する様々なアートの本を閲覧することが出来ます。今回のアボリジナル・アートを解説しているカタログをしばし読んで、へぇ~と理解を深め、何とも心地よい空間でした。アーティゾン美術館のアニュアルレポートのようなものもあり、これを読むためだけに来てもいいなと心に留めて、鑑賞を終えて帰ってきました。こアーティゾン美術館は2026年2月6日から「モネ没後100年-風景への問いかけ」展覧会が開催される予定です。チラシを見ただけでも心躍り、今から楽しみでなりません。