先日、鬼滅の刃を23巻(最終巻)まで読み終えました。
読了後、何とも言えない『面白かったけど……うーん……』というもやもや感。
なんとなく気持ち悪いので、『そこまで面白くなかったな』と感じる理由を、
自分なりにハッキリさせてみました。
1.キャラの少年漫画的魅力が薄い
どのキャラも、個性的な衣装や顔立ち、名前で、決してキャラの魅力が薄いわけではないのですが、技や戦い方といった少年漫画的な魅力が薄いと感じました。
水の呼吸、雷の呼吸、獣の呼吸、など印象的な『呼吸』をそれぞれ使うものの、正直だからなに?という状態です。
○○の呼吸だからできる長所や短所、○○の呼吸に相性のいい敵、悪い敵、そういったそれぞれの呼吸の、戦いで活きる個性が全くと言っていいほどないんです。
水の呼吸は水にちなんだ技を出すだけで、言ってしまえば技の演出が水っぽいだけです。
水の呼吸だから戦えるような敵もいない、水の呼吸をたまたま教わったから使うだけ。
戦い方の個性なんかほとんど無視で、強い弱いだけで決まるので、せっかく個性的な『呼吸』の設定があるのにお飾りになっている感が否めません。
実際、主人公は、水の呼吸は自分の身体に適していないと判断し、家に伝わっている他の技(ヒノカミ神楽)と併用しだします。
全キャラクター、自分の身体に合う呼吸を選択し、使っているだけ。もしくはたまたま教わった呼吸を使っているだけ。そして戦いにも差が生まれない。
どの呼吸でもいいわけです。あれだけ呼吸をピックアップしているのに。
ここに私はかなりがっかりしてしまいました。
バトル漫画ののセオリーだと思うんです。
それぞれのキャラクターの能力に個性があって、その個性のおかげで倒せたり、逆に窮地に陥ったり。
たとえばONEPIECEは主人公が身体がゴムのゴム人間です。
伸びることを生かした技や回避法で戦いますが、斬撃には普通に弱いです。
雷の能力者との戦いでは、ゴムは電気が通じないためそこそこ有利に進みます。
けれどしょせんゴムなので、他の圧倒的に戦いに向いている能力の能力者に圧倒されながらも、ゴムなりの技を編み出し、戦っていきます。
鬼滅の刃は大正時代の日本を舞台にしていて、ゴリゴリの異能力物というわけではないです。
あくまで剣術ですから、ONEPIECEのような異能力バトルに比べて、戦い方の個性が薄いこと自体は別に当たり前だと思います。
ただせっかく○○の呼吸を作ったなら、その呼吸の個性を活かす場があればバトルにもっと引き込まれたのではないかと思います。
ほかの少年漫画を通ってきたので、鬼滅の刃の一辺倒すぎる戦い方は、せっかくの設定がもったいないと思いました。
2.過去設定が押しつけがましい
私はキャラの過去編が大好きです。
味方キャラの過去編も好きですが、敵キャラの過去編も大好きです。
鬼滅の刃は、味方側である柱や、敵である鬼にもそれぞれ過去編があり、過去編大好きマンとしては非常に嬉しいはずなのに……なぜか眉間にしわが寄りました。
鬼滅の刃の過去編は、言い方がすごく悪いですが押しつけがましいと感じたからです。
特に柱の過去編です。
別にそこまで仲良くなってもないキャラの唐突な過去編、数ページでテンポはよく、本編の邪魔というほどではないですが……『いや、別に君の過去なんか気になってないよ』と言いたくなります。
他の漫画では、そのキャラにある程度愛着がわいていて、なおかつその過去がストーリー上なんらかの意味を持つような場合の過去編をよく見ます。
鬼滅の刃は、まだ主人公と2.3度顔を合わせただけのキャラの、本編に関係ない過去編が急に始まったりします。
別にそのキャラの過去が気になる展開でもないのに、そのキャラが戦っているというだけで、急に生い立ちを見せられるわけです。
というかむしろ、過去編で可哀想な生い立ち見せとくから、このキャラ死んだときは感動してね、って感じです。
そこまで言ってしまうとさすがに穿ちすぎですが、私にはそのように感じました。
そのキャラがその後死ぬことに感動させるために過去編をやってる感じですね。なのでこちらが求めてもいないのに過去編です。
ほとんど主要キャラ全員に過去編があるのに、それがただの感動のための前振りなのが残念です。
そしてなにより、そんな唐突な過去編でも、それがなければキャラの戦いや死にざまを盛り上げられないくらい、死んでいく柱たちとのエピソードが薄いことです。
柱なのに特に一人での戦績もなく、主人公とのエピソードもなく(知り合い程度)、過去編だけでそのキャラの魅力を作ろうしているキャラがいてがっかりします。
柱というならせめて、死んだら悲しいくらい、そのキャラの『現在の』魅力や主人公とのエピソードが欲しかった。
過去編ファンとしては、そういった浅い過去編の使い方の連発に、とても冷めました。
あとこれは余談ですが、家族愛の押し売りに感動できない人は、鬼滅の刃の過去編に入り込めないかと思います。8割それが主題なので。
3.物語が浅い
これが一番、私が鬼滅の刃を世間が言うような『面白い漫画』だと思えないところです。
物語が浅い原因の一つに、ラスボスの小物感があると思います。
ラスボスである無惨は、部下に強く当たりちらし、鬼殺隊の柱を殺せと命じるわりに、自分はなにもしない。
慎重といえば聞こえはいいですが、そのせいで最後のラスボス戦の時しか戦わない(しかもそこで負ける)せいで、めちゃめちゃださいです。強さを誇示するシーンがないんです。
あるのはすでに血で支配下に置いていて絶対的に歯向かわれない部下に対して力をふるうシーンだけ。
しかもその取り柄の慎重も、そもそも隠れ潜んでいて姿を現さない無惨と、ラスボス戦に突入できたきっかけが、鬼殺隊のトップが弱っているところを襲いに来る、そしてそれを読まれて罠にはまるという……よく考えれば本当にこの人は強敵なのかと首をひねるばかりです。
戦闘シーンも、圧倒的に強い技や能力もなく、いっぱいの管がすごい速度で出てくる、猛毒に等しい効果のある血をまき散らす、という……目新しさも何もない、すごく多くてすごく早いすごく痛い、なんて単純な攻撃なんです。
少年漫画では重要な、敵キャラに対して読者が『こんな奴に勝てるのか!?』と感じるような強さの演出がないんです。
勝ち方も結局、みんなで頑張って攻撃し続けて、朝日が昇るまで粘って、太陽で消滅させるという……主人公が成長した結果大技で倒すとかではないんですね。
太陽で消滅させられることで、結局勝因は、舐めプで逃げ遅れた無惨のミスって感じになって、ますます無惨の小物感を演出しています。
そして、伏線回収だとか、意外な展開があまりにもないところも、物語が浅い要因ですかね。
伏線回収があるとすれば炭治郎が、かつて無惨に致命傷を与えた唯一の人物がその技を伝えた一家の子孫であったことくらいです。
けれど、その設定も、わざわざそんな一家を襲いに行ったあげく炭治郎は殺しそこね、その後も『花札のような耳飾りの少年』を認識していながら部下に命じるだけで確実に殺しに行かなかった無惨の無能さの証明にしかならなかったのではないかと思います。
結局炭治郎が、一家に伝わっていたその技で倒すわけでもないんですし。大層な設定で得たその技も、時間稼ぎ技になっただけでした。
いくら王道少年漫画と言えど、意外性がない、伏線がないのは、とてもあっさりした読み応えでした。
さて、これまでだらだら書きましたが、上記3つが、鬼滅の刃を『面白いけれど言うほど面白くはない』と感じた要因です。
面白いか面白くないかで言えば面白いけれど、『面白い』に分類している漫画の中では下から数えるレベル、って感じです。
個人的な意見としては、すごく面白いから大流行したわけじゃなく、浅いのに面白いから流行したのではないかと思います。
物語が浅いから、浅いファンも浅く楽しめていいのかなと。
それを踏まえると、マーケティング的な観点では、私が挙げたがっかりポイントこそが、他の漫画にない、流行る原因なのかもしれません。
最後に、いろいろ文句のようなことを書きましたが、それでも鬼滅の刃は面白かったです。
残念だと思うところはあれど、きちんと読了しました。つまらない漫画ではないです。
敬意をこめ、批判ではなくレビューという形でまとめたかったため、この記事を書きました。
拙い記事を、読んでくださった方がいれば、お付き合いいただきありがとうございました。
よい漫画ライフを。