こんにちは、2階のおばちゃんです。
前回のブログ「Jay Jopling」は、原文(Word)をまとめんのに苦労したのと
長文になってしもたから、おばちゃん疲れてしもて3時のおやつ過ぎてたんやけど
明日のパン買いに行って爆食いしたわ。
そのあとの晩ごはんは別腹やで。頭使うとお腹すくやろ?なんでやろうね。
で、夜にポチっと更新して早よお風呂入って寝る予定やったのに、ブログに載せる
写真がダウンロードできへん問題が発生して(サイズがデカすぎたのが判明)、
兵庫県のゆるキャラのオクトパス将軍みたいになってしもてん。
何とかタコツボに隠れることなく解決してんけど、結局寝るの遅なってしもたわ。
前回のような長文にならへんよう、今回はスッキリ、サッパリ、バッチリな文章で
攻めてくで。
「いつもダラダラ長文やん」って?
。。。そやねん。
今回はYBAの次の世代「ポストYBA」(Post-YBA)について書いてくね。
1990年代終わりごろになるとアート市場もメディアもYBAに代わる次の新しい
革新的なアートを求めださはんねん。
そやけどまだYBAの絶対的な価値と衝撃的な性質はアート界で残ってたし、
アートシーンへのインパクトはアルゼンチン出身の革命家チェ ゲバラさんが
Tシャツになってしもたくらい未来永劫健在ってなもんやから、嫌というほど
YBAsに影響を受けてきた若いアーティストらにとってはYBAの性質を超える、
または同じレベルの作品を出すってのは困難なことで高いハードル設定やってん。
その「高いハードル設定」が逆に次のイギリスのコンテンポラリーアートへの期待を高め、ポストYBAsの誕生が求められたんやと思うわ。
ポストYBAって言葉が生まれて話題になってた時期っていうのは数年やってん。
1999~2002かせいぜい2003年くらいまでやった気がする。
とにかく短命に終わって、それ以降、ポストYBAって言葉を話題にした人は
ほとんどいなかった印象やねん。
YBAの場合、YBA特有のムーブメントが起こってセレブリティ並みにもてはやされ
ブランド化されたけど、ポストYBAは静かなムーブメントやったなと思うわ。
メディアが熱心に「次の世代のYBAs」として取り上げてたのも短期間やったしね。
そやけど、あのころポストYBAって言われてた若いアーティストらが下火になって
活動が停滞したんとちごて、かつてのYBAsが今も精力的に活動してるように、
ポストYBAsも同じように今も活動してはるし注目されている存在であることは
変わりないと思うわ。
YBA, ポストYBAって言う肩書が外れただけのようなもんやし、アーティスト自身の活動にしたらどうでもええことやろうね。
最初にポストYBAとして名前が上がったのは、当時おばちゃんの周りでは
ティム ノーブルとスー ウェブスター(Tim Noble and Sue Webster
ちょっと長いから「ノーブル&ウェブスターさん」って呼ぶわ)と
マーティン マロニー(Martin Maloney)さんやったわ。
当時、注目されてたノーブル&ウェブスターさんの作品は影の彫刻(Shadow sculpture)というシリーズで、家庭用のゴミやスクラップされた金属、動物の
剥製とかいろんなゴミを組み込んでかたまりにしたもんに光をあてたら
「なんということでしょう、あのゴミのかたまりがすてきな影絵になったでは
ありませんか」って感じになる作品やねん。
ただ、下の画像の1つ目なんかは如何にもゴミの山って感じやけど、ほんまに
ゴミなんかちょっと疑問に思うねん。トイレットペーパー、まだ使えるやん。
因みに下の画像の2つ目はブリティッシュ ワイルドライフ(British Wildlife)って
タイトルで動物の剥製を使ってる作品やねん。ノーブルさんのお父さんが病気で
亡くならはって、そのお父さんの家を片付けてるときに多数の動物の剥製を
見つけたから使うことにしたって言ってはるわ。ノーブルさん曰く、お父さんが
美術館や博物館から盗んできたんやと思うってことやわ。(返さんと使うんやね)
Courtesy of the artists, timnobleandsuewebster.com
今では世界的に有名なアーティストの1人やね。
早いうちからメディアから注目されててBBC2とかのドキュメンタリー番組で
取り上げられてたのを覚えてるわ。
おばちゃんから見た印象としては、若いのにセックスピストルズが好きで
おばちゃんにとっては懐かしいパンクロッカーっぽい服装してんなあって
感じやったわ。彼らの作品はある意味、理解しやすい作品やから好きな人
多いやろうなって思ったで。
もう1人、早い段階で名前が挙がっててよく話題になってたのはマーティン マロニー(Martin Maloney)さんやったわ。
苗字のMaloneyは”マロゥニー”って発音に近いで。
小さい「ゥ」入れんのめんどくさいから、「まろやかに煮える」マロニーちゃんと
同じ「マロニー」にしとくね。
ノーブル&ウェブスターさんのようにメディアから頻繁に取り上げられて
アートにそれほど関心ない多くの人にまで作品が広がったという印象はないわ。
どっかの新聞社のアートコラムで記事が出たっていうのもほとんど無かったと
思うわ。ガーディアン紙(The Gardian)くらいと違うかなあ。
けど、マロニーさんのペインティング作品はアート界隈では絶賛されてて、
おばちゃんの周りを含め、彼の名前はほんまに頻繁に出てきててん。
1990年代後半のアート市場、ギャラリー、アートスクールでチューター(Tutor
大学や専門学校の教員)として働いてるアーティスト達、この辺からマロニーさんの作品の評判が半端なかったわ。
マロニーさんはポストYBAというよりはYBAの時代から活動してはる人やねん。1991年カナダのギャラリーで初のソロエキシビジョンの履歴があるけど
精力的に活動を始めたんが1995年以降やわ。エキシビジョンへの出展だけでなく、キュレーションも結構やったはるし、アートの評論家としての顔もお持ちやねん。1997年RAでやった「Sensation」にも出展してたからサーチコレクションに
入ってたってことやね。
「Sensation」の時は他のアーティストらの作品に押しつぶされて目立たへん
かったし彼の作品がメディアに取り上げられてたっていうのはなかったけど、
アート関係者の間では話題になってたわ。
そんなマロニーさん、YBAの全盛期の時に名前が挙がったというよりは、「Sensation」以降、ポストYBAへと移り変わる時期に挙がったって感じやねん。
じゃあ、この辺でマロニーさんのペインティング作品を載せるね。
彼のペインティングは結構デカい(2m優に超える)のが多いねん。
上は2004年制作「Saplings」(若者) 、下は1997年制作「Rave」(レイヴパーティーの意味ね)
Courtesy of Saatchi Gallery
始めて彼の作品を見たときは、「え?ふざけてんの?」ってビックリしたわ。
ぱっと見、小学生が描いた感じやし、構図もバランスも描写力も遠近感も
無視してるように見えるやん。
Saplingsなんか頭がちょん切られてるやん。
因みに「Rave」は後ろにカッコ()で「(After Poussin’s Triumph of Pan)」って
付いてて和訳すれば、「プッサンの作品「The Triumph of Pan」のその後の現在」って感じかな。
ニコラ プッサン(Nicolas Poussin)って言う17世紀のフランスの画家が描いた
「The Triumph of Pan」ってタイトルのペインティングがあってな、乱痴気
パーティーを描いてはるねん。ローマ神話に出てくるやんちゃなワインの神
バッカスのお祭りが古代ローマ時代に行われてて豊作を祈願するお祭りやった
らしいけど、実際はセックスとアルコールの乱痴気パーティーやったのが
分かってるねん。これの現代版をマロニーさんが作成したってことやね。
Triumph of Pan by Nicolas Poussin / Image credit: The National Gallery, London
アカン、マロニーさんの作品の説明をするとめっちゃ長なるから
ここで止めとくわ。
その後、オリバー ペイン&ニック レルフ(Oliver Payne and Nick Relph
ペイン&レルフ)さんやジェレミー デラー(Jeremy Deller)さん、キャリー ヤング(Carey Young)さん、デビッド ソープ(David Thorpe)さんなどポストYBAsとして次々に名前が出てきたわ。
伝統的な美学よりもアイデアやプロセスに重点を置いたコンセプチュアリズムと
ミニマリズムをベースにしたYBAs式アプローチに従い、ポストYBAsは一見YBAsの可愛い子分のように柔軟に対応してる感じが、ジャイアン(YBA)とスネ夫(ポストYBA)っぽく見えるねん。スネ夫くんの嫌味な性格とマザコンは置いといて、
子分のようにジャイアンに従ってるけどちゃんと利害関係の上で成り立ってるやろ?手先が器用で、新しいもん好き、自分の好きな物に関する知識が豊富で、その上
「つばさちゃんへのホットなレター」コンクールで優勝するくらい文才にも
恵まれてるスネ夫くんやねん。
そのへんの日常的な物とか素材を使ったり、メディアからの情報や音楽や
サブカルチャーからインスピレーションを得て、ハイカルチャー(High culture
社会的に高く位置付けされてる文化)とローカルチャー(Low culture
若者文化や大衆文化)を融合して境界を曖昧にしたりする特徴はYBAsと
変わらへん部分やね。
因みに「サブカルチャー」って言葉、日本のサブカルとは意味が違うで。
日本ではアニメ、アイドル、コスプレ、大衆文化とかをサブカルって言うけど、
海外では支配的な主流派文化に対するマイノリティの文化のことを言うから
例えばアイヌ文化、エスニックマイノリティ、LGBTとかそういう少数民族の
文化とか社会的少数者達の文化を指すねん。
で、そんなスネ夫くん、ただ単にジャイアンを師匠と仰いで真似てたんとちごて
ジャイアンが築いた良い部分はちゃっかり利用し、それを基本として
「ジャイアン=動(または暴)とスネ夫=静」というジャイアンとは正反対の新しい
アートの見せ方を広げていくねん。
直接的に主張を述べるようなジャイアンの作品に対し、スネ夫は間接的に
ほのめかすような作品で、2024年の今でも、作品を見る人にアートに対する認識や解釈を再考するよう暗に促すような作品が多い印象があるわ。
ポストYBAsの特徴としてザっと挙げるとな、こんな感じやわ。
★ アートに対する高い教養を持ってはる
YBAsもそうやったけど、ポストYBAsも何年もかけて複数の大学やアートスクールで学んでアーティストとして活動してはる人が多いわ。
アートに関する知識が豊富で研究心が強い印象やね。
★ 二人組(Duoデュオ)とかグループで協力して作品を完成
ノーブル&ウェブスターさん、ペイン&レルフさん、デラーさん、アラン ケーン(Alan Kane)さんなど、デュオとして活動してたり、他のアーティストらと
コラボしたり、いろんな人らに参加してもらったりと、誰かと一緒に作品を
完成させるってのが多い印象やわ。
★ いろんな分野に幅広く作品を作らはる
例えばノーブル&ウェブスターさんの作品は3D、ネオン、シルクスクリーン
プリント、リトグラフ、ドローイング(線画)、フォトモンタージュ、そんでもって
レコードアルバムと幅広いから単に「彫刻などの3D作品を作ってるアーティスト」と言うのが難しいねん。因みにYBAのチャップマン兄弟もレコードを出したはる
けど、ノーブル&ウェブスターさんが出した1年後やしね。
他のポストYBAsも写真もやればビデオもやるしペインティングもプリントも3Dも
パフォーマンスアートもコンセプチュアルも、なんやったらキュレーションもやるし本も書くでって感じやからアーティストを分野でカテゴリー化することが
難しいねん。
★ インスタレーションアートが主流になる
インスタレーションアートっていうのは、主要となるオブジェクトとその周りの
空間全体を1つの作品として構成されるアートのことやねん。
ノーブル&ウェブスターさんの影の彫刻も3Dオブジェクトと空間を使った
インスタレーションアートやで。
オブジェクトは映像や3Dはもちろん、ペインティング、写真、テキスト、
ドローイングの2Dやレディーメイドでもなんでもいいねん。
展示空間ごとディスプレイするって感じやね。
★ 政治的、社会的問題への関心半端ない
消費文化、グローバル資本主義、社会規範を批評したり、政治的、社会的問題に
頻繁に言及してはるアーティストが多いわ。
2024年の今も社会に対する抵抗や風刺的な要素を暗に含んでる作品が多いな。
作品を通して、見る人がその問題を考え議論を引き起こしてくれんのを静かに
狙ってるって感じやね。
こう見るとポストYBAのムーブメントも悪くないやん、がんばってるやんって
思うねんけど、サッサと消えてくねん。
まず、アート市場がYBAでお腹いっぱいになり飽和状態に近かってん。
そうなると次のYBAsというよりは、今までとは違う新しい種類や革新的なものに
興味が移ってくねんな。
アート界のグローバル化が進んでいき、アジアやアフリカや南米などいろんな国の
コンテンポラリーアートのアーティストが注目を集めだして、イギリスのアート
シーンを飲み込んでしまった感じがあってん。そやから自国のイギリスに焦点を
当ててたYBAとポストYBAの重要性は薄れていったと言えるわ。
その上、今までは雑誌や新聞やテレビから情報を掴んでたのがデジタル技術を
駆使したニューメディアに代わったから情報量が半端ないし、デジタル
テクノロジーやインターネットが新しい芸術活動を生んで注目され、ポストYBA
どころじゃなくなったんと違うやろかと、おばちゃんは考えてんねん、
毎年開かれるターナープライズには、あのころポストYBAと呼ばれた人で
受賞した又はショートリストに入ったアーティストは、後にも先にも2004年
ターナープライズ受賞者のデラーさんだけやねん。
この人の作品はいろんな人と協力して作るパターンやわ。
この人もいろんなことやったはるけど、やっぱり2001年のビデオ作品
「 The Battle of Orgreave in 2001」が思い浮かぶかなあ。
1984~85年にかけて鉱山労働者のストライキがイギリスであってな、政府が
国営やった石炭産業は採算性が無いわって言うて炭鉱を閉鎖することにしはって、
閉鎖を阻止しようと大規模なストライキというか暴動が石炭産業で続いてん。
そのうちの1つでイギリスの産業史上最も激しい衝突やったと言われてる1984年
オーグリーブ(Orgreave)という村で起こった鉱山労働者のストライキやねんけど、デラーさんがその当時の状況を再現してドキュメンタリー作品にする企画を
立てはってな、当時ストライキに参加した元労働者ら1000人くらい集めて結構
大掛かりな作品を作らはってん。
その企画に参加した一人、イギリスの映画監督マイク フィギス(Mike Figgis)さんが、ロンドンを拠点とする芸術団体アートエンジェル(Artangel)と民間テレビ局のチャンネル4(Channel 4)向けに撮影を担当しはってん。
ちょっと見てみて。
デラーさんの作品ってあまりアーティスト本人が前に出てこーへんねん。
この作品かてフィギスさんの作品って言っても通じそうやけど、彼はカメラ回した
だけやしね。
他にポストYBAでターナープライズに選出されたアーティストがいないのは
残念やわ。
ノーブル&ウェブスターさんさえも未だにショートリストに入ったこともなければ
受賞したこともないねん。
「話題になってるから」だけではあかんねんね。
どっかの国とちごて忖度なしってことやわってことで、ほなな~。