著者: 日本ペンクラブ, 川上 弘美
タイトル: 感じて。息づかいを。

川上弘美選の恋愛小説アンソロジー
一体、どこが恋愛なんて、思うのは、冬ソナに浮かれた熟女だろうか。
それとも、愛ルケでボケ気味の中年男だろうか。
それにしても、グロテスクだと思った。
人間の業、丸出しの生き方。
そういうことが恋愛なんだと、言い切る弘美先生は、すごいなあ。

全部で8作。

まず、車谷長吉の「武蔵丸」出だしが良いよね。
もう引退した横綱「武蔵丸」。 いきなり武蔵丸が死んだ。
なんて、殺さないでよと思ったら、カブトムシだった。

よしもとばななの「とかげ」こちらも、すごいで出だしだ。
 「この文章の中で彼女をとかげ、と呼ぶ。」
ばななさんの文章をはじめて読んだが、うまい、と思った。

坂口安吾や野坂昭如を久し振りに読む。
坂口安吾の「桜の森の満開の下」は何度呼んでも怖いような、きれいなような気がするお話。

やっぱり充実した短編集だ。