5月初旬

そこそこ授業のペースになれてきたことだ。




前口直人のクラスは
月の初めに席替えをするという決まりがある

その決まりに従って
あさのホームルームは席替えの時間となった。


(このクラスはくじ引き方式なんだ)

ちなみに直人の今まで経験してきた席替えのルールは
あみだくじが主流だった



「まぁまぁの席かな」

くじ引きの結果、前でもなく後ろでもない席になった
いわゆるど真ん中だ。





さて、朝のホームルームも終わって
5月の清々しい風に吹かれながら
授業がはじまる――――――



(教室のど真ん中だから、窓際じゃないので風当たらないんですけど!!)




………。







いつも通り授業が始まった

そう、いつも通りの授業だ。

あくまでも
客観的に見た場合の話だが…











「・・・」

劇団~ピグ劇場~の演劇日誌

(ん…?今どっかから声が?)
(まぁ気のせいか)

席替えで環境が変わったせいかいつもよりはかどっている気分だ
最近ちゃんと予習復習の習慣を身に付けたので
授業の方もはかどるようになった。


しかし直人の方角に向けてのみ、静寂が破られた


劇団~ピグ劇場~の演劇日誌

「!?」
「教科書忘れちゃって…」

教科書を忘れたとを言うのが恥ずかしそうであり
すごくか細い声であった。

「あぁ~」
「いいよ、見せてあげるよ」

教科書を忘れて隣の人に見せるぐらい
中学校のころからよくやっていたことである。

ちなみに今は数学の時間で
演習問題を解くという、いわゆる自習に近いものであるが
問題が分からないのであれば誰かにみせてもらわないといけないということだ。


「ありがとう」

感謝の言葉を述べた彼女は少し照れていた

劇団~ピグ劇場~の演劇日誌

笑顔を直人に向けてから
教科書を見せてもらうために彼女は机を近くに持ってきた。


「・・・」

(女子とこんなに近いなんて小学校以来だなぁ!!)

小学校のときはみんな最初から机をくっつけて授業を受けていたものだが
中学校ではひとつひとつ離れていたのだった。
それに教科書のやりとりの時に直人は女子から
見せてもらったり見せたりすることがなかったのである。

小中学校の少しうぶだった自分を思い出しながら
内心ドキドキしていた。



答えが分からなくなってきたので
彼女のノートをちらりと見た


(計算速っ!!?)

手元のシャーペンの動きが尋常じゃない早さだった。
しかも自分が分からないところは
すでに解き終わっている模様だった


(中学の時にそんなに頭のいいやつらとつるんでなかったからかなぁ・・・)

彼女の計算の早さを見て改めて自分が劣っていると感じた。

ふと自分の友人の顔を思い出してみても
やはりみんな頭がいいわけではなかった

今、隣にいる女の子は直人から見られていることを
まったく気にしていないかのように黙々と計算していた。


(あ・・・、思っていたよりこいつ肌がキレイだ)



まったくをもって授業とは関係ないことを考えていた



(はっ!)

(俺、今めっちゃ非日常ライフ送ってるって感じがする!)


これは彼の思い込みであるが間違ってはいない。

席替えというきっかけで、彼は非日常を感じた。




しかし彼の非日常生活は
まだまだ序章であった――――――・・・






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