育つのが一匹だけ遅れた雛鳥のように、あたりを見回しながら1人だけ浮かないようにと一生懸命だった。
ひとまずお酒を飲み緊張を解こうとカウンターへと歩みを進めた。
狭くも広くもない店内に明らか定員オーバーの人数が犇きながら歌い、踊り、酒を飲む。皆幸せそうな顔をしながら、なんでもない日乾杯と言わんばかりにはしゃぎ回り、私はそんな人々を見つめながら知り合いなんか1人たりともいないのによくわからない安心感に溺れていた。
カウンターの一番端の席に座り、隣の席には買ったリキュールを乗せた。メニューを見つめながら何にしようか迷っていると、隣からがさっとビニール袋の擦れる音がした。はっと視線を横に戻すと、金髪の派手な二人組が私のリキュールが入った袋を退かし、隣の席を陣取り始めていた。このままリキュールを盗られるかもしれない。とメニューに顔を埋め、気配を殺してちらちらと二人組を盗み見ていると、1人がすっと肩に手を回し、「これ、退かしたからそっち置いて。」とリキュールを差し出した。「どうも。」ぶっきら棒に返事をして肩を払い、席を立った。
こんなの考えてた大人と違う。
金髪の派手な二人組に絡まれるのが大人?
違う。こんな事しにここに来たんじゃないのに…がくんと体がよろける。
「大丈夫!?」誰かが私の肩を掴んで、近くの椅子まで運んでくれる。
「ありがとうございました…」歪む視界の中で私に水のペットボトルを差し出してくれた人物にピントを合わせる。
女の人。背が高くて…すごくすらっとした…
赤髪の…
「ロゼッ…タ…?」ゆっくりと視界の歪みが薄れ、意識が戻る。目の前にいるのは明らかにロゼッタだ。
「あなた…昼間の…!」はっとした表情を浮かべ、さっと立ち上がった。
「待って」立ち去ろうとするロゼッタに釘を刺す。
「キャサリンに…会ったの?」こちらに背中を向けたまま、ロゼッタは黙り込んでしまった。
「なんで行かなかったの?」少し間が空いて、ロゼッタは口を開いた。
「“大人”の事情。」
「え…?」
「大人の事情だから。あんたには早いの」風を纏い振り返ったロゼッタの目は、驚くほど尖っていて、鋭利な刃物のような冷たさを帯びていた。
「大人…」一番聞きたくない言葉。立ち去るロゼッタの背中に、私は何一つ反論出来なくて、ただ手に握ったペットボトルから雫を垂れるのを見つめ、1人で涙を流すしか出来なかった。
ひとまずお酒を飲み緊張を解こうとカウンターへと歩みを進めた。
狭くも広くもない店内に明らか定員オーバーの人数が犇きながら歌い、踊り、酒を飲む。皆幸せそうな顔をしながら、なんでもない日乾杯と言わんばかりにはしゃぎ回り、私はそんな人々を見つめながら知り合いなんか1人たりともいないのによくわからない安心感に溺れていた。
カウンターの一番端の席に座り、隣の席には買ったリキュールを乗せた。メニューを見つめながら何にしようか迷っていると、隣からがさっとビニール袋の擦れる音がした。はっと視線を横に戻すと、金髪の派手な二人組が私のリキュールが入った袋を退かし、隣の席を陣取り始めていた。このままリキュールを盗られるかもしれない。とメニューに顔を埋め、気配を殺してちらちらと二人組を盗み見ていると、1人がすっと肩に手を回し、「これ、退かしたからそっち置いて。」とリキュールを差し出した。「どうも。」ぶっきら棒に返事をして肩を払い、席を立った。
こんなの考えてた大人と違う。
金髪の派手な二人組に絡まれるのが大人?
違う。こんな事しにここに来たんじゃないのに…がくんと体がよろける。
「大丈夫!?」誰かが私の肩を掴んで、近くの椅子まで運んでくれる。
「ありがとうございました…」歪む視界の中で私に水のペットボトルを差し出してくれた人物にピントを合わせる。
女の人。背が高くて…すごくすらっとした…
赤髪の…
「ロゼッ…タ…?」ゆっくりと視界の歪みが薄れ、意識が戻る。目の前にいるのは明らかにロゼッタだ。
「あなた…昼間の…!」はっとした表情を浮かべ、さっと立ち上がった。
「待って」立ち去ろうとするロゼッタに釘を刺す。
「キャサリンに…会ったの?」こちらに背中を向けたまま、ロゼッタは黙り込んでしまった。
「なんで行かなかったの?」少し間が空いて、ロゼッタは口を開いた。
「“大人”の事情。」
「え…?」
「大人の事情だから。あんたには早いの」風を纏い振り返ったロゼッタの目は、驚くほど尖っていて、鋭利な刃物のような冷たさを帯びていた。
「大人…」一番聞きたくない言葉。立ち去るロゼッタの背中に、私は何一つ反論出来なくて、ただ手に握ったペットボトルから雫を垂れるのを見つめ、1人で涙を流すしか出来なかった。