キャサリンの声が聞こえなくなった頃、
私は少しだけ振り返った。
後ろは暗闇だった。なにも見えなくて、なにも聞こえなかった。
ついさっきまで聞こえた私を呼ぶ声を自ら振り払って来てしまった。
自分のせいなんだ。
「もうやだ…」雛鳥は自由を求めて巣の外へ出た。
「誰か…」でも、雛鳥の居場所は外にはなかった。
「キャサリン…」雛鳥は必死に親鳥を呼んだ
「帰りたいよ…」雛鳥は家に帰りたいと叫んだ。
でも、
結局なにも変わらなかった。



哀れな雛鳥は、自分からしたことを後悔しました。
安泰な生活には危険はない。
そして危険の中にあるスリルもない。
それを幸運と思うか、不運と思うか。
そんなの人によって違うけど、
私はそれを不運だと思った。
周りの人間が自分より先にいる気がして。
自分が人より劣ってる気がして。
そんな感覚に陥った時、真っ先に大人になりたいと思った。
でも、私はまだ大人を知るのには早かったんだ。
もっとゆっくりと、時間をかけて大人を学んで、大人になるべきだった。
急いては事を仕損じる。
そのまんまだった。
急ぎすぎたんだ。
あの時一緒に帰っていればよかった。
人はそれを後悔といった。
こんなのは大人じゃなかった。
逆に我儘をする子供のようだった。
なんでこんなことしたんだろう。
視界はさっきより歪んだ。
後悔。後悔、後悔。
後悔。後悔。後悔。
それしかなかった。
進め続けた足取りは止まった。
蒸し暑いゴールドコーストの夜。
汗か涙かわからない雫が砂に落ち、すっと消えた。