NHK大河ドラマを観続けて早28年。
そんな自分だからこそ一言言いたい。
今年の「どうする家康」は正直言って「どうなる家康?」と言いたい。
2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」
主演 松本潤 松重豊 有村架純 松嶋菜々子ほか
申し訳ないけど、面白くないにも程がある。
脚本、演技、台詞回し、全てにおいて現実味がない。
なんとなく、現代劇を観ている感じがする。
あくまでも時代劇なので、時代劇風な台詞回しであってほしいが、
幼稚極まりない現代語で会話が進む。
もう少し脚本の段階で考えた方がいいと思う。
主君たるもの幼き頃から帝王学を学び、いずれ人の上に立つ
英才教育をされてきたはず。
そんな人物がおいそれと人前でメソメソ泣くなんてありえない。
こんな主君に一体誰がついて来るんだろうか?
NHK大河ドラマは、1963年から放送が始まり、今年で62回目となる。
実は家康を主役にした作品は今回を含め3回ほどある。
1983年に放送した滝田栄氏が家康を演じた「徳川家康」。
1983年NHK大河ドラマ「徳川家康」
原作 山岡荘八
主演 滝田栄 役所広司 武田鉄矢 夏目雅子ほか
🔳 織田信長役 役所広司
🔳 豊臣秀吉役 武田鉄矢
<物語>
戦国時代、織田信長や豊臣秀吉とともに三英傑と称される英才、徳川家康。
家康は、三河松平家出身であり、幼少の頃より今川・織田という二大国の
辛い人質生活、相次ぐ戦の日々、あるいは信長・秀吉への臣従を経て、
乱世を終結に導くべく最後の苦難に挑んでいく。
ある意味で徳川家康を主役にしても、それほど面白味に欠け、
嫌厭されてきたかもしれないが、この作品は見事に家康の生涯を
描いている。
なんと言っても脇役の存在が光っている。
織田信長役に役所広司、秀吉役に武田鉄矢をキャスティングしている。
役所広司の荒削りな演技がリアリティを生み出し見事なまでに信長を演じている。
そして、秀吉役を演じた武田鉄矢は、足軽大将から天下人になる過程を
見事に演じている。
この回は何度も何度も観たが、いつみても新鮮な発見がある。
中でももっともお気に入りは、竹千代(家康の幼名)が幼き頃、
今川の軍師であった雪斎禅師から教えを乞うシーンである。
雪斎が竹千代に問う。
「孔子という古い聖(ひじり)を知っているか?」
「はい。論語の孔子様!」
「そうじゃ・その方の弟子がある時・政治とはなんでしょうか?と尋ねた時に孔子様はこう答えられた。
良いか?およそ国家には「兵と食と信」がなければならんとな。すると弟子がまた聞いた。
国家がその三つを備えられない場合には・どれを捨てれば良いのでしょうか?と。
良いか?食は食べ物・兵は軍備。信は人と人との信じ合いじゃ。さぁて・御元であったら何と答える?!」
「食と・兵と・信・・・兵!」
「何故・兵を捨てるのかのう?」
「はい。人は食がなければ生きられませぬが・槍は捨てても生きられまする」
「ほほぉ~・孔子は竹千代と同じに答えを出された・兵を捨てよとな。
そこで弟子がまた聞いた。残った二つの内どうしても捨てねばならん時。
どちらを捨てたら良いでしょうか?と。
竹千代なら食と信とではどちらを捨てる?」
「信を捨てまする・食を捨てれば生きられませぬ」
「竹千代は食に拘るのう・尾張では腹を空かせた覚えがあるな?」
「はい。三之助と徳千代と腹が空くとみんな機嫌が悪く浅ましくなりました」
「うむ。して食べ物が手に入った時・御元はそれをどうした?」
「はい。まず三之助に食べさせました」
「その次は?」
「竹千代が食べました。徳千代は竹千代が食べねば食べませぬ故」
「ほほぉ・徳千代は竹千代が食べぬうちは食べなかったか」
「はい。それから三之助も徳千代の真似をして食べませぬ。
それ故その次からは初めから三つに分けて・まず竹千代が取りました」
「ほぉ・それは良いことをしたのう。が・孔子はそう答えなかったぞ」
「すると食を捨てよと言われましたか?」
「そうじゃ・食と信では・まず食を捨てよと申しなされた。
ん~それは御元の中で既にあったな?」
「・・・・・」
「徳千代は竹千代が食べぬうちは食べなかったと申したな?」
「はい」
「徳千代は何故そうしたのじゃろう?」
「さぁ・・・」
首を捻る竹千代。
「それは始め三之助がまだ幼かった故・竹千代にみんな食べられて。
自分のぶんはなくなるかもしれん・そう思った。
ところが徳千代は竹千代が一人で食う人ではないと知っていた。
そういう御元を信じておった故・食べなかった。
そして次に三之助は竹千代を信じた。黙っていても一人で食う人でないと悟ったのだ。
誰かが一人で食べたら二人が飢えてゆく。
人と人の間に信がなかったら三人の命を繋ぎ得たその食は三人の間で争いの種となり。
返って三人を血みどろの戦いに誘い込まぬものでもない」
「・・・・」戸惑う竹千代。
「信じあう心・というより信じあえる故に人間なのじゃ・信がなければ獣の世界。
獣の世界では食があっても争いが絶えぬ故・生きられん。さぁ。今日はこれまで。
尼殿と一緒に戻ってな・諸侯の挨拶に参るが良い。分かったな」
「はい!」
このように帝王学をしっかり学び、竹千代は成長を遂げる。
後に大人になった家康の精神を支える大事なシーンである。
そしてこの回も傑作である。
🔳 葵徳川三代
2000年放送
原作 ジェームス三木
主演 津川雅彦 西田敏行 尾上辰之ほか
<あらすじ>
慶長3年8月18日(1598年9月18日)、太閤豊臣秀吉は巨万の富と
これを天下獲りへの絶好の好機と睨み、秀吉の残した数々の遺訓に背いていく。
そんな家康の専横を阻もうと一人の男が立ち上がった。
五奉行・石田三成である。そして天下分け目の戦い・関ヶ原へ向かって
家康と三成の激しい謀略戦が始まった。
家康の孫にあたる水戸光圀は父祖の正しい歴史を伝えるべく、
秀吉の死後から徳川三代の物語を語る。
圧倒的な存在感で津川雅彦が徳川家康を演じている。
津川雅彦自身、何度も家康を演じているが、この回が最高だと思う。
以上のように様々な役者が徳川家康を演じてきたが、
そのどれもが素晴らしく描かれている。
しかし今回の「どうする家康」は全く共感できない内容である。
正直なところ早送りで観てもいいくらいである。
泣き虫家康が本当の主君になるのだろうが、弱き主君など見たくない。
「どうなる家康」は、これから一体「どうするんだろうか?家康」
全く期待が持てない。






