1989年12月、ある映画が公開されようとしていた。
街でその映画のポスターに書かれたキャッチコピーを見て衝撃を受けたことを
今でも鮮明に覚えている。
「人生は映画ではない。ただ素晴らしい」だった。
普通ならば、「映画のような人生」みたいな表現を使用するが、
真逆の言い回しがやけに気になった。
映画のタイトルは「ニュー・シネマ・パラダイス」
公開後、大ヒット映画となり大ブームを巻き起こすことになる。
「ニュー・シネマ・パラダイス」
1989年12月日本公開
出演 フィリップ・ノワレ ジャック・ペラン サルヴァトーレ・カシオ
物語は、サルヴァトーレ少年と映写技師のアルフレードの心温まる物語である。
サルヴァトーレの幼少期から思春期、初恋、映画といった要素が散りばめられている。
映画の中年期を演じたのが、ジャック・ペランである。
アルフレードの訃報の知らせを受け里帰りするサルヴァトーレ。
大人になったサルヴァトーレは、生まれ故郷のシシリーには一度も里帰りすることもなく、
30数年経過していた。年老いた母親や懐かしい知人との再会。
サルヴァトーレは有名な映画監督になっていた。
母親との別れ際、アルフレードからの贈り物を受け取るサルヴァトーレ。
それは古いフィルム缶だった。
ローマに戻ったサルヴァトーレは、端尺のようなフィルムを映写機にかけ、
ひとり鑑賞する。
そこには、アルフレードとサルヴァトーレ二人だけが知っている秘密が
スクリーンに浮かび上がる。
感動のラストシーン、自然と湧いてくる涙。
「やられたなぁ」と思わずにはいられなかった。
この映画には、ちょっとした思い出がある。
その頃僕はある女性と付き合い始め一緒に暮らしていた。
映画好きの彼女にこの映画のことを話すと観に行きたいと言った。
「この映画は彼女と観たい」と強く思っていたが、ちょうどその時彼女には、
海外ロケの仕事が入っていた。映画関係の仕事をしている彼女は、何かの繋がりで
試写会に招待されていた。
試写会当日が海外ロケ出発の日と重なり、彼女は試写会で映画を鑑賞して海外に行った。
僕としては映画の内容が気になっていた。彼女から映画の内容が聞きたいと思っていたら、
渡航先から国際電話があった。彼女に映画のことを根掘り葉掘り聞いて、封切りとともに、
ひとりで映画館に行った。結局この映画は彼女と観ることはなかった。
そして帰国した彼女とこの映画のことで盛り上がった。
あれから30数年、主演のジャック・ペランが亡くなった。
テーマ曲を担当したエンニオ・モリコーネも2020年に他界している。
■ ジャック・ペラン
フランスの俳優・映画製作者
2022年4月21日没 享年80
ニュー・シネマ・パラダイス以降もドキュメンタリー映画の製作、監督、ナレーションなどを
精力的に続けてきた。
また偉大なる映画人がこの世を去って行った。でもこの映画は、心に刻まれ忘れることは
ないだろう。映画が持つ力を再認識させられる。
謹んでご冥福をお祈りします。感動をありがとうございました。




