今回は『スラムドック＄ミリオネア』です。

この作品はとにかく沢山の賞を受賞していて見る前からとても期待していた作品でした。正直、期待しすぎてしまった気もしますし、実際こんな綺麗ごとのような話があるだろうかと思ってしまいましたが、一つの“作品”として伝わってくるもの、教えてくれるものは絶対にあると思います。

何よりこの映画『スラムドック＄ミリオネア』は、第81回アカデミー賞最多の8部門を受賞。ゴールデングローブ賞も最多4部門受賞。更に、最優秀作品賞17冠、最優秀監督賞15冠、最優秀脚本・脚色賞10冠。

世界中の映画賞をこれだけ受賞した作品です。

(ストーリ)

インドの大都市ムンバイの中にあるスラム、ダーラーヴィー地区で生まれ育った少年ジャマールは、テレビの人気クイズ番組『コウン・バネーガー・カロールパティ』（原題は『フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア』、日本版は『クイズ$ミリオネア』）に出演する。

そこでジャマールは数々の問題を正解していき、ついに最後の1問にまで到達した。しかし、無学であるはずの彼がクイズに勝ち進んでいったために、不正の疑いがかけられ、警察に連行されてしまう。そこで彼は生い立ちとその背景を語る。

Wikipediaより

まず、この映画は拷問される場面がいくつかあるので痛々しいシーンが流れることもあり、そのようなシーンが苦手な方は注意だと思います。

物語は、過去と現在を行き来しながら、ジャマールが自分の人生を振り返り、なぜクイズに正解することが出来たのか警察に話していくというものです。物語が進むにつれ、彼の人生の中で起こる様々な出来事にやるせない思いになったり、小さな少年が生きるために必死になる姿に励まされたりと、どんどんこの作品の中に吸い込まれていくような感覚になりました。

スラムで育ったジャマールは少年時代に母親が殺されるまで学校に通っていたものの、その後学校でまともな教育を受けていません。常に生きるか死ぬかというような生活をしていた彼は、どんなに辛いことや苦しいことがあっても誠実さだけは絶対に忘れませんでした。

いわゆる貧困層の彼は、法では認められない偽ツアーガイドの仕事や観光客の靴を盗みそれを商売にしたりすることもあります。目の前で自分の兄が命を守るために殺人を犯したこともありました。しかし、彼はどんなことがあっても、一人の女性を決して忘れませんでした。彼女を守るために、彼女自身に危険が及ぶこともありました。それでもジャマールがずっと守り続けた彼女への愛と彼自身の誠実さは、この物語の結末に繋がっているのだと思います。現実と理想が違うことがあっても、一人の女性を愛する心と、どんな逆境にも誠実に生きていく気持ちを持ち続けたからこそ彼はミリオネアに選ばれたのだと思います。

現実の世界でこの映画のように、愛や誠実さが最後に勝つかどうかはわかりません。でも、何かを思い続ける強い気持ちは何かを変えてくれるんだと思います。

今何か迷っていることがある人、今の自分が思うように上手くいかない人にオススメです！

スラムドック＄ミリオネア(原題:Slumdog Millionaire）