先日の講義で、サリンジャーのバナナフィッシュについて一部紹介された。
バナナホールに泳いで行って、豚のようにバナナを食べまくり、バナナ熱にかかって死んでしまうという「バナナフィッシュ」とは、一体何なのか!?気になって気になって仕方がないので、原書を読んでみたがまだ分からない。
意味不明だけどバカバカしい訳ではなく、なんだか気になるサリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」。 なにかものすごい秘密が隠されているのではないか・・・こじつけでも意味を見つけたくなる。
以下、気になるキーワード達。
*「6という数字」
シビルはsixまたはそれに形の近いものを何度も言う。バナナフィッシュがくわえていたバナナの数、絵本に出てきたトラの数。そして唐突にシーモアに好きか尋ねたwax。これはsexをもじったものだろう。ちなみにシーモアの妻が読んでいる婦人雑誌は”Sex Is Fun - or Hell”
*「オリーブは好き?」
シビルがシーモアに聞いたのはwaxだけではない。オリーブもその一つだ。オリーブといえば平和の象徴である。そしてノアの方舟で、大洪水により無に帰った地からハトが持ち帰ったのはオリーブの枝である。ナインストーリーズの9つめに出てくるTeddyは、「死ぬということは単に体から魂が抜け出るだけ」と考えているが、シビルのとりとめのない質問は、まさに人間のイノセンスの喪失と魂の輪廻転生を暗示しているようだ。
*「シーモアグラス」
これはシーモアの名前と、もっと鏡を見てという意味をかけたダジャレである。シビルが何度もいう「鏡を見て」という言葉は、「もっと自分を見て」ということだ。シビルは金髪のイノセンスをまだ喪失していない少女であり、翼のような肩甲骨を持っている。シーモアは彼女の足を何度も手にとり、最後には足にキスまでするのだが、シビルは神からの使いというか天使のような役割を担っているのかもしれない。少女は突然現れ、どこかへ去っていく。