一昔前のSF作品において、冷凍睡眠は欠かせない設定であった。果てしなく広大な宇宙を何十年、何百年とかけて巡るために、宇宙飛行士は自らを冬眠状態にして生き長らえようというのだ。しかしいつしか、そのような設定は全く聞かなくなってしまった。なぜ冷凍睡眠は、SFでお役御免となったのだろうか。
アインシュタインの特殊相対性理論が予測する現象の一つに、ウラシマ効果なるものがある。詳しい説明はより博学なブロガーさんにお任せするが、光速に近い速度で航行する宇宙船の中では、船外に比べて非常にゆっくりと時間が流れる。極端な話、お隣りのアンドロメダ銀河まで2泊3日の小旅行、帰って来たら地球では何百万年も経過して人類はとっくに滅んでいました、なんてことが理論上は起こり得るのだ。つまり冷凍睡眠が必要なのは宇宙飛行士ではなく、実は地球人類の方だったのである。