以前にも書いたが、俺はあまり漫画には精通していない。これまでに全巻読破した作品はというと、せいぜい20作から30作程度であろう。しかも俺の年齢を差し引いても、いささか趣向が古い。しかし少ないながらも、それなりに良作に恵まれてきたと自負している。そこで今までに俺が触れた作品の中でも、殿堂入りとも言うべき3作を紹介したい。
(1)『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)
言わずと知れた国民的人気作『ドラえもん』。しかしテレビアニメは何度となく観ているが原作漫画は読んだことがない、という若い人も多いのではないか。まず原作はテンポ良くコマが進行し、登場人物が実にコミカルに描かれている。そして純然たる児童向け漫画でありながら、その一方で戦争や環境破壊、人間愛などにもより深く切り込んだ、大人が読んでも十分に見応えのある作品となっている。
(2)『ブラック・ジャック』(手塚治虫)
医療漫画の金字塔とも言うべき『ブラック・ジャック』。法外な報酬と引き換えにどんな患者も治してしまう天才外科医・ブラック・ジャック。一見万能ヒーローものの漫画と思いきや、その実医療を通した人間ドラマである。人間が人間の生き死にを決するという驕り、医療では救えない人間の中に巣食う闇、それら葛藤と無力感の中で真摯に命と向き合うブラック・ジャックの姿が鮮明に描かれている。
(3)『火の鳥』(手塚治虫)
数多ある手塚作品の中でも、集大成と言うべきなのがこの『火の鳥』だ。全18篇から成るシリーズであり、そこに一貫して描かれているのは「人間の傲」である。古代・現代・近未来と、圧倒的なスケールの時間軸・世界観を背景に、人間の生命としての過ちとそれに対する報いの連鎖が克明に描かれている。まさに同作は氏からの全人類に対する問題提起であり、答えは読者に託されたと言えよう。
◆日本を代表する漫画家といえば?
(「gooランキング」より)
1位 手塚治虫 (代表作/鉄腕アトム) 10751票
2位 藤子・F・不二雄 (ドラえもん) 4715票
3位 鳥山明 (ドラゴンボール) 3704票
4位 尾田栄一郎 (ONE PIECE) 2212票
5位 藤子不二雄A (笑ゥせぇるすまん) 833票
6位 井上雄彦 (SLAM DUNK) 610票
7位 松本零士 (銀河鉄道999) 517票
8位 あだち充 (タッチ) 506票
9位 青山剛昌 (名探偵コナン) 457票
10位 赤塚不二夫 (天才バカボン) 443票 ※以下略
以上、他にも紹介したい漫画は山ほどあるのだが、この3作はまさに別格である。俺の少年期における人格形成に大いに影響した作品と言って良いだろう。今日、あえて手塚治虫や藤子・F・不二雄を読み開く若い人は少ないかも知れない。しかし本屋で見かけたら、ぜひ手に取ってみてほしい。それらは国語の教科書などよりも遥かに重い。