【妄想劇場】 天才児 | まきしま日記~イルカは空想家~

まきしま日記~イルカは空想家~

ちゃんと自分にお疲れさま。

20XX年XX月XX日、
その子は生まれた。

生後2日目、
初めて口を開いたその子に両親は驚愕した。
丁寧語から尊敬語・謙譲語に至るまで、
その子は日本語を完全にマスターしていたのだ。

両親はすぐさま、
医師にその子のIQテストを依頼した。

やがて医師が青ざめた顔で検査室から出てきた。
結果は判定不能というものだった。



生後3ヵ月、
その子はどの玩具にも目をくれず、家のパソコンに興味を持った。
その子はパソコンをいじってバラバラにすると、
また組み立て直してみせた。

その子が組み立て直したパソコンは、
現代のコンピュータ技術を30年革新するものだった。

生後半年、
その子が最初に手にとった本は相対性理論だった。
相対性理論の本を開くと、
その子は何やら落書きを始めた。

その子の落書きを見てみると、
それは相対性理論の誤りを全て訂正したものだった。



1歳の誕生日、
その子は部屋で謎の変死をしていた。
警察の必死の捜索にも関わらず、
死因は全く分からなかった。

その子の遺品となったお手製のコンピュータには、
宇宙の始まりから終わりまでがCGで完全にシミュレートされていた。
その子はこの世の全てを知り、
この世に飽きてしまったのだろう。