作家&講師・平野正喜/窪田柾の原稿用紙にコーディング

作家&講師・平野正喜/窪田柾の原稿用紙にコーディング

IT作家/劇作家/ゲーム作家で講師の ひらのまさき/くぼたまさき の雑記。

先週、新宿三丁目・紀伊国屋ホールにて、幻冬舎 Presents 劇団扉座第80回公演「つか版・忠臣蔵」を。

2012年6月の初演から、再演の都度、魅せてもらってきた名作。いったい何度目だろうか。

そして今回も、冒頭の「白鳥の湖」が音量を上げ、我らが岡森諦さんが近松門左衛門の颯爽とした姿で現れると、それだけで私はテンションが爆上りする。わくわくが止まらなくなる。

しかし、今回はこれまでとは違い、ここで、チャイコフスキーを論ずるセリフは無い。

筋が進むに連れ、私が初演時と2014年の再演時に購入し暗記するほど読んだ台本との違いが見えてきた。

言葉遊びの冗長性や、感情の灰汁が削ぎ落され、リズミカルに、しかし、強く、心を打つストーリーが押し寄せる。

これは、まさに、つかこうへいさんの芝居ではなく、扉座の芝居、脚本・演出の横内謙介さんの芝居だと感じた。

 

# 実は、存命時のつかこうへいさんの芝居に触れなかった私は、「後追いで」つか作品を舞台で見て、強烈な個性に魅了されつつ、灰汁の強さに呆れてもいた。

# あり得ないことを敢えて言えば、もしも、私が舞台化したら、酒米の磨きのごとく台本の半分を削ぎ落すかもしれないなぁ等と、身勝手ながら考えてしまったこともある。

# まあ、そんな私の妄想はどうでも良いとして。

 

とにかく、シェイプアップされた今回の「つか版・忠臣蔵」が連日ほぼ満員の観客を魅了したことは、1ファンとして嬉しい。

「無謀ナイト」と銘打たれた学生専用無料公演で、学生諸君が熱狂されたと聞いて、やたらと嬉しい。

そんな中、劇団扉座が紀伊国屋演劇賞(団体賞)を受賞され「分かる方には分かると信じていて良かった」と心から嬉しい。

おめでとうございます。

 

願わくば、「つか版・忠臣蔵」が再々々演されますことを。

(「ドリル魂」のように、キャストを一気に若返らせたバージョンも観てみたいと思っているファンは私だけではないような…)