【 年譜 ②】



大腸癌の手術をした父が退院してからも

実家の母一人では

車もなく大変なことも多かったので 通院の付き添いやら手続きやら身の回りのことをするために 


埼玉県の自宅↔長野県の実家

片道 およそ170km  3時間ほど

往復 340km~350kmもの距離

を通っていた。車💨


父の実父(じっぷ)は80歳で亡くなったので

大腸癌を患(わずら)った父は 自分がその80という年齢を超せるかどうか 不安な気持ちをよく口にしていたけれど


定期的な検査結果にも悪い数値はなかったし

転移もみあたらなかったし


総合病院から自宅近く(約10km)の診療所で診てもらえるようになったので 通院や待ち時間のストレスもなくなったし


正直 心配するようなことはあまりなかったように思っていた。


遠距離だけれど 運転は好きだったから 苦ではなかったしね。


あとは父が あまり気に病まずに過ごしてくれたらいいなぁ って そんな風に思っていた。






けれどね・・・






そんなある日 

母の言動がおかしいことに気づく。






その日も実家に行っていて


「そろそろ帰るね」


台所にいた母に声を掛けようと ガラスの引き戸を開けたのだけれど


そこには突っ立ったままの母がいた。


ぶつぶつぶつぶつ... ぶつぶつぶつぶつ…

無表情のまま ひとりつぶやく母がいた。





朝 起きて二階から降りてきたら 冷たい洗面所で洗濯機に両手をついて 前屈(まえかが)みになって

ぶつぶつぶつぶつ ... ぶつぶつぶつぶつ…

ひとりつぶやいていた認知症だった義母の姿が重なった。





あぁ

あの時と同じだ...





「●●●さん‼️」

「●●●さん‼️」

大きな声で母の名前を2回呼んだらね



母は 

ゆっくりゆっくりスローモーションみたいに笑って

ゆっくりゆっくりこっちの世界に戻ってきてくれた。




あとは普通。

いつもの母。



普通に話して普通に笑って…

いつもの母。



父に聞いてみたけれど変わったところは無いと言う。




でも・・・



いやぁな感じがした。

とっても嫌な感じ。


喉になにかが詰まって熱をもったみたいな嫌な感じ。





早いほうがいい‼️

間違ってない‼️

近いうちに検査してもらったほうが絶対いい‼️



ぐるぐるぐるぐる色々なことが頭の中を巡り

受診の段取りやら検査の予約のことやら

あれやこれや考えながら運転していたら

帰りの高速で

降りるインターを間違えたガーン









2日後

知らない番号からの着信があり...








倒れて頭を打った母が救急搬送されたことを知る。