「ちょっと~ あんたさ~」
と 言いかけたとき星が割って入った。
「ごめん ごめん 僕が悪かった。さあ商子ちゃん行こう」
と 星と商子がその場を離れようとしたその時だった。
「星君!」とマツモトキヨシが大声で呼び止めた。
まさに 花形満が星飛雄馬に挑戦を挑む まさにそんな光景であった。
星はこいつが、大嫌いだった。
「マツキヨ君よ 悪いけど俺あんたとあまり会話をしたくない。」
星は、そう答えるのが精一杯だった。立ち去ろうとしたその時だった。
「あ 逃げちゃうだ~」
と 芝新香が言った。
ここで黙っていては 目黒商子の名が廃る。
「どうでもいいけど あんた~”しばしんこ”だか”しばちんこ”だか
知らないけど 元をたどれば、あんたが 路上で合羽を脱ぐからよ!」
やはり 商子のトークは凄み満点である。
「そうは言われても・・・」
「ちょっと話がこじれてきたので こういう話はどうだろうか?」
とマツキヨが話だした。
「昔 河童(カッパ)がお不動様のひょうたん池に2匹いた。
一匹の河童がもう一匹の河童の合羽をかっぱらった。かっぱられた河童は
かっぱらった河童の持つ合羽を取り返すという話だ」
とその話に感激した商子は
「なにそれ? ということは
カッパがカッパのカッパをかっぱらった。
かっぱられたカッパはかっぱらったかっぱのかっぱをかっぱらうってこと?」
もう星はこのどうでもいい話に耐えられなかった。


