大慶油田のピークアウトが報道されました。

すでにここ <http://www.tradeq.jp/blog-yu/archives/001820.html > で多少述べられていますが、少し詳しく論じることにします。

日本経済新聞(朝刊) 2007年9月17日(月) p8
「中国、最大油田の生産半減 大慶油田 埋蔵量減少、2020年までに 輸入率6割に 相場に影響も」

(Quote) 【北京=宮沢徹】石油大手の中国石油天然気集団(CNPC)は、東北部の黒龍江省にある中国最大の大慶油田の生産を、二〇二〇年までに今の半分以下へ減らす。経済の発展にあわせて生産を拡大してきたが、埋蔵量が減り、生産ペースを保つのが難しくなった。中国の原油生産が当面は頭打ちになる見通しが強くなり、政府は輸入を増やして需要増に対応せざるをえなくなる。

 中国産原油の約四分の一を生産する大慶油田に枯渇の危機が迫ってきたことで、中国の原油の輸入比率が〇六年の約四五%から二十年には六〇%に達するとの試算も出ている。世界の原油相場にも影響を与えそうだ。

 大慶油田の〇六年の生産は四千三百万トンだった。大慶市の高金竜・発展改革委員会副主任によると、CNPCは今後は年百五十万トンのペースで減産し、二〇年には年産二千万トンにする

 今は地下千-三千メートルから原油をくみ上げている。三千メートルより深い層に一億トン以上が埋蔵されている可能性も指摘されており、今後は八千メートルまで掘り進むが、それでも埋蔵量は限られている。今のペースで減産していけば、今後五十年間は生産を続けることができるという。

 大慶油田だけでなく、中国石油化工(シノペック)が生産している大規模な勝利油田(山東省)など既存の油田の多くで生産が伸び悩んでいる。石油各社は新しい国内油田の開発に資金を投じているが、新発見した油田でも埋蔵量がまだ不透明な上、生産を本格的に始めるまでに時間がかかり、しばらくは大慶の減産を埋め合わせるのに手いっぱいになりそうだ。

 中国の〇六年原油生産は〇五年比一・七%増の一億八千四百万トンで、輸入は同十四・五%増の一億四千五百万トン。輸入の伸びが際立っている。今後、国内の原油生産の伸びは、せいぜい年率二%とみられており、年一〇%前後伸びる見込みの消費への対応には、輸入をさらに増やすことが必要になる。

 このため政府は国有の石油会社に、アフリカや中央アジアなど海外での権益確保や輸入の拡大を促している。〇六年に四五%だった中国の原油の輸入比率は、直近では五〇%に迫る勢いで、中国社会科学院によると二〇年に六〇%へ高まる可能性がある。政府は省エネルギーを進めて原油の需要増を抑える考えだ。(Unquote)


この記事には、小さな解説記事が付属しています。

(Quote) ▼大慶油田 一九五九年に発見された中国最大の油田。ピーク時(九九年ごろ)の年産は五千六百万トンに達し、中国の急速な経済発展の原動力になった。日本との関係も深く、日中国交正常化の翌年の一九七三年から日本への輸出が始まった。日本の原油輸入の二-三%を占め、日中貿易の象徴的な存在ともいわれたが、生産の伸び悩みなどで二〇〇三年に打ち切られた。(Unquote)