これは個人的な意見です。
工業原料用バイオマスの生産は、将来かなりの程度海で行われるだろう、と私は考えています。
理由は前述したとおりで、大量の水を簡単に得られることです。
たくさん光合成させてたくさんバイオマスを生産し、工場に原料を大量に供給する。
これが成立しない限り、工業生産の大幅な縮小、ひいては生活水準の絶対的な低下、は避けられないと考えています。
石油生産がピークアウトするというのに生活水準なんて贅沢なことを言うな、とおっしゃる向きもあるかもしれませんが、私の言う「生活水準」には「医療」も当然含まれています。
現代の医療は石油をたっぷりつぎ込むことによって成立しています。石油の減退は医療の衰退を意味すると私は考えています。
もちろんそれ以前の食糧生産もです。
さて、冒頭の議論に戻ります。
光合成は水を消費します。ですから、「一定の面積内・一定の時間内」での光合成量を増やすためには、「一定の面積内・一定の時間内」における水の供給量を増やしてやる必要があります。
これを地上でどれだけできるのか、私は疑問視しています。生態系や自然の水循環などに大きなダメージを与えずにそれができるのかどうか、をです。
もちろん、人間が海で養殖すれば海洋生物にとっては邪魔なわけですが、使える水の量が桁違いに大きいので、地上のように深刻なことにはならないのではないか、というのが私の現時点での考えです。
ちなみに、「海藻を養殖するよりも、海で実施するにもっとよい選択肢がある」と私は考えています。ここで書くつもりはありませんが。