目的が液体燃料ではなくてメタンガスですが、こういう情報も最近出てきました。
日経産業新聞 5月22日(火) 1面
「東ガスが発電装置 海藻から燃料ガス 漂着物を有効活用」
(Quote) 東京ガスは海藻から燃料ガスを取り出して発電する装置を開発、販売を始めた。港湾に大量に漂着した海藻の処理コストを削減し、電力エネルギーに変えられる。政府は国産バイオ燃料の普及を目指しているが、増産には困難も予想される。海藻が新たなバイオ燃料として注目される可能性がありそうだ。
新装置はコンブやアオサなどの海藻を粉砕した後に、温度をセ氏五十五度に保った発酵槽で、メタンガスを発生させる。海藻から出るガスの熱量はまちまちなため、都市ガスを加えて熱量を一定にしたうえで発電する。発電時に生じる排熱は発酵槽の温度維持のために再利用する。
一トンの海藻からは十五-二十立方メートルのメタンガスが得られる。このガスを使った一時間の発電で六キロワット時の電力が生まれる。標準的な仮定が一時間に消費する電力二十戸分に相当する。
...(中略)...
メタンガスを取り出した後の海藻の残渣(ざんさ)にはチッ素分が豊富に含まれており、肥料として利用できる。発電機を含めた設備の設置コストは一日二十-五十トンを処理する小規模なもので十億-二十億円。
これまで港湾に打ち上げられた海藻はほとんどが焼却処分されていた。海藻は水分などを多く含むため償却に多くのエネルギーが必要で、一トンの処理に一カ月に標準的な仮定が使うのとほぼ同じ量の三十立方メートルの都市ガスが必要だった。
...(中略)...
政府は地球温暖化対策として、バイオ燃料の普及を拡大する方針を示している。三〇年までにガソリンの年間需要の一割に当たる六百万キロリットルに拡大する計画だ。ただ、国内の農地での増産余力はそれほど大きくないとみられている。 (Unquote)
最後の段落は、日経も私と同じ見方に傾いてきたことを意味しているのでしょうか...? エタノール発酵やアセトン・ブタノール発酵で液体燃料を製造するよりもメタン発酵で燃料ガスを生産する方がずっと簡単だということを日経が知らないとは思えません。
私が思うに、日本ではエネルギー関連施設はたいてい海岸近くにあることが、海藻の焼却処分が必要とされていた背景にあるんでしょうね。暖かい排水が海に流れ込むので繁殖しやすいのではないかと私は思います。
焼却処分しなければならなかったものからエネルギーを得られれば、確かに結構な話ですね。