現在練られているバイオコンビナート構想の骨子は以下のようなものです。

工程1: 生化学的プロセス
バイオマスからエタノールとプロパノール/イソプロパノールを製造する

工程2: 化学プロセス
エタノールからエチレンを、プロパノールからプロピレンを製造する

工程3: 化学プロセス
エチレンからポリエチレンを、プロピレンからポリプロピレンを製造する

石油化学コンビナートでは、ポリエチレンとポリプロピレンは代表的な生成物ですので、とりあえずここまでを達成するのが目標だと判断できます。

もちろんこの後、更に加工してプラスティック製の様々な物品ができるわけです。そこはプロジェクトの対象外なわけですね。

もっとも、大きな課題はあります。

プロピレンを製造するために、前述したアセトン・ブタノール発酵技術をこれから確立しなければなりません。

発酵それ自体は技術的には可能ですが、大規模に経済的に実用化した例はまだありません。

デュポン社とブリティッシュシュガー社が頑張ってるようではありますけどね。セルロース系エタノール製造技術と同様、まだこれからです。

論文には、原料の確保と生産コスト、二酸化炭素削減効果について評価が載っています。

原料の確保と生産コストについてとりあげます。まず原料の確保から。


原料の確保について:

・構想では澱粉/蔗糖を原料とすることが想定されている

・バイオポリプロピレン生産に必要な耕地面積をサトウキビ農地で試算

→ プロピレン50万トンの生産に23万ヘクタールの農地が必要

→ 23万ヘクタールは沖縄県の面積とほぼ同じ

・ブラジルのサトウキビ耕地面積は490万ヘクタール。タイのは110万ヘクタール

・ブラジルの(全ての)耕地面積は4800万ヘクタール。タイは2000万ヘクタール

・ブラジルが原料供給地の第1候補

・セルロース系原料の採用については、将来予定している第2段階で扱い、この構想では扱わない