前回・前々回ご紹介した記事からすると、石油化学コンビナートで使われている製造技術をかなり応用するように書いてありながら、同時に「アセトン・ブタノール発酵」についても書いてますね。
最初読んだとき、私には違和感・疑問が残りました。
現在石油化学コンビナートで一般に使われている製造技術は、エネルギーをたっぷりつぎ込んで高温・高圧下で(時には触媒の助けを借りて)化学変化を起こさせるものです。
記事に書かれていたアセトン・ブタノール発酵は生物による化学プロセスです。現状ではほとんど実用されていないプロセスです。
おまけに、アセトン・ブタノール発酵についてぽつっと書かれているだけです。アセトン・ブタノール発酵によって糖分子を発酵させ、プロピレンの原料(イソプロパノール)を製造するということでしょうが、コンビナートはそのプロセスだけでできているわけではありません。
ほかのプロセスについてはどれくらい生化学的プロセスを使うつもりなのか?
原料がバイオマスだ、というところだけとりあえず実現しようとしているのか?
「一部に生化学的プロセスを使い、現時点で生化学プロセスで効率よく製造できない物質を製造する工程には当面既存の石油化学系プロセスを使う。生化学的プロセスの全面的な適用や、原料の確保、といった点は将来の課題として、当面原料をバイオマスとする製造業の体系を構築することを優先する」
こういうことなのか、とも思えますが、すっきりしません。
ある論文があったのを思い出し、読み直してみることにしました。