前回の投稿の続きです。
(Quote) 試算では百万トンのプラスチックを生産すると二酸化炭素(CO2)の削減効果は石油原料に比べて二百八十五万トンに達すると言う。これは京都議定書で日本に課された削減量(約七千四百万トン)の四%になる。
また合成したプラスチックを廃棄・燃焼せず長年使い続ければCO2の固定につながる。身の周りにある家電製品や自動車などに広く普及すれば、森林のようなCO2の吸収効果が期待される。これまでバイオプラスチックといえば地中に埋めると分解する生分解が主流だった。ところが分解せず長く使うほど環境にやさしい材料になる。
実現のカギを握るのはバイオマスからエチレンなどを合成する微生物だ。現在、東京工業大学や九大が持つ微生物で実験を進める。九大の吉野貞蔵准教授は「アセトン・ブタノール菌」という酸素がない嫌気性で生活する微生物で研究に取り組む。
この菌はアセトンを溶液中一リットル当たり最大五グラム生産する能力がある。アセトンを合成する仕組みはほぼ解明されており、吉野准教授は「遺伝子組み換え技術で生産能力を高めたい」と語る。目標は一リットル当たり百グラムだ。
現在は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究費で実験を続けるが、〇八年度からはさらに大型の国家プロジェクトとして本格的に取り組めるよう準備を進める。
石油化学の代替として植物由来のプラスチックやバイオ燃料の開発は世界的な流れになっている。英BPやデュポンなど化学メーカーも動き始めた。環境技術で主導権を握りたい日本も競争に負けない取り組みが必要だ。 (竹下敦宣) (Unquote)